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農商工連携の今(82)津久見産柑橘類の加工食品−人気商品続々全国に販路開拓

 つく実や(大分県津久見市、川崎信人社長、0972-83-5532)は、柑橘(かんきつ)類のサンクイーンや甘夏などを使った加工品を生産販売する。昭和30年代には国内有数のミカン産地として知られた同市だが、ピーク時に約3000人いた生産農家も現在は10分の1に減少。高齢化や後継者不足が深刻化している。児玉佳子専務は「商品を全国ブランドに育て、再び活気あふれる街を取り戻したい」と意欲を燃やしている。

 同市には樹齢約850年の国内最高齢といわれる「小ミカンの先祖木」がある。衰退していくミカン産地の灯火を消すまいと地元商工会議所の若手メンバーが出資者となり、2008年9月に設立したのがつく実やだ。

 生産地間競争が激化する中「安値で取引されるミカンを加工し、付加価値の高い商品として全国に売り込む」(児玉専務)目的で、果皮加工技術を持つ工房つくみべっぴん'S(津久見市)や中野農園(同)をパートナーに連携体を組織した。商品化したのはサンクイーン、甘夏、カボスを使ったマーマレードとカボスのドレッシング。マーマレードは果実の苦味やえぐ味を多く含む、表皮の白い部分を手作業で丁寧に削り取るなど果実の風味や色合いを出す工夫をした。

 一方のドレッシングは爽やかな酸味を引き出すためカボス果汁を手作業で絞り、細かく刻み込んだ果皮なども加えた。カボスの風味を損なわないよう加熱処理はしていない。添加物を使用せず、果実全てをぜいたくに使えるのは産地ならでは。

 原料は大分県農業協同組合県南柑橘選果場(同)や中野農園から確保し、自社工場で生産する。地元百貨店などで贈答品、土産品として販売するほか、インターネットで全国販売する。

 マーマレードの容量は150グラム、ドレッシングは同200ミリリットルで価格は一律1000円と、競合品と比べると割高だが、手間を惜しまない商品作りが消費者から認められ「リピーターも増えている」(児玉専務)と胸を張る。10年10月には観光客向けにとの要望を受け、小ミカンを使ったまんじゅう「柑の香(かんのか)」も発売、ヒット商品に育ちつつある。

 児玉専務は「売上高は11年8月期に約8000万円、13年8月期は約2億円を目指す」と意気込む。相次ぐ人気商品を武器に津久見市から全国へ販路開拓を進める。また農家の所得向上を目指して、地場産業の振興にも貢献する考えだ。


【2011年7月4日 日刊工業新聞社】