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農商工連携の今(81)大分産唐辛子を使った調味料

 日本で消費される唐辛子の98%が輸入品といわれる。海外品が国内市場を席巻する中で、エス・エフ・スピリッツ(堺市南区、兼本浩史社長、072‐296‐3202)はあえて国産唐辛子の販売にこだわった。自前の農場を持つ清川ふるさと物産館夢市場(大分県豊後大野市)と連携。清川の農場で生産した唐辛子を原料としたオリジナル食品を市場投入している。

 エス・エフ・スピリッツは、地域の伝統的な食材を見直す“スローフード”と呼ばれる考え方を事業コンセプトに掲げて2002年に発足した。社名もスローフードから引用し、「地域が持つオリジナルの食物を守る」(兼本社長)との方針で事業を展開している。清川との共同事業も地域性重視の考え方をベースとしており、唐辛子以外に白ゴマも加え、09年に農商工連携事業として認定された。

 清川とは、地域の野菜を探すうちに「多くの自然が残る大分県に頻繁に行くようになった」(同)過程で知り合い、共同事業をスタートした。連携構築後は、国内で最も多く使用される唐辛子の代表品種「鷹の爪」を清川の農場で栽培。さらに同品種の実を原料に酢を調合した液体タイプの調味料をエス・エフ・スピリッツ側で製造・販売する仕組みを作り上げた。

 特に清川の農場のように、年間の温度差が大きい場所で栽培した唐辛子は辛みが増すとされる。そのため共同事業の商品についても、強い辛みや香りを味わえる点で他社品との違いを打ち出した。

 事業自体にもメリットが多く、例えば唐辛子は他の農作物に比べて作業負担が軽く、高齢でも収穫作業が可能だ。野生動物に食い荒らされる被害もほとんどない。

 唐辛子の年間国内消費量も、辛い食材を求める傾向が強まり「20年前の8000トンに対し、現在は1万トン」(兼本社長)と拡大基調にある。そこでエス・エフ・スピリッツは、今後も清川産をはじめ他県産の唐辛子を原料に使用した商品開発に力を注ぐ方針。販売も自社ブランド「堺・鷹雅堂(さかい・ようがどう)」を軸に販促に取り組む。

 ただ国産品を使った一味や七味の小売価格は、輸入品の7―8倍と依然高い。しかし兼本社長は「価格は高くても(地域産品を求める)一定の購買層はある」と話す。地域の食材を文化と位置付ける消費者を掘り起こし、「夢は日本の唐辛子の自給率100%」(兼本社長)と大きい。


【2011年6月27日 日刊工業新聞社】