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四国リポート/“高速1000円”終了で揺れる四国−観光振興に新たな柱模索

 鳴り物入りで2009年3月から始まった高速道路の休日割引制度「終日上限1000円」が、東日本大震災を受けた復興財源確保に向けた措置で19日に終了した。制度期間中はマイカー旅行者らにとって大きな恩恵があったが、公共交通機関は苦戦を強いられた。四国4県では、本四架橋の通行料加算で高速料金の割高感があったために、他地域とは違った事情が浮き彫りになっていた。(高松支局長・林武志)

 四国から本州にかかる本州四国連絡高速道路は、明石海峡大橋を通る神戸淡路鳴門自動車道、瀬戸大橋の瀬戸中央自動車道、「しまなみ海道」で知られる西瀬戸自動車道の三つがある。例えば、休日に鳴門インターチェンジ(IC)から神戸西ICまで通行する場合、これまで料金自動収受システム(ETC)搭載車で1000円だったが、20日以降は2725円になった。

 近畿地区からも日帰り圏となる徳島県は、渦潮観光などで「09―10年度は特に効果が大きかった」(商工労働部観光戦略局)。高知県も10年1月から約1年にわたって開いた「土佐・龍馬であい博」で「目標入場者60万人に対し、90万人超を集め、予想以上に大きな成果」(観光振興部)と、振興施策の努力とともに制度による底上げ効果がうかがえた。

 一方で、公共交通機関にとっては、もともと制度の導入を手放しで喜ぶ雰囲気はなかった。京阪神などへの高速バスを運行するジェイアール四国バス(高松市)は、制度を導入した約2年間は導入前に比べて平均で約10%売り上げが減少した。

 今回の制度終了については、「すぐに(マイカーに流れていた)客足が戻るとは考えにくい。状況を注意深く見守りたい」(ジェイアール四国バス)と慎重だ。上限制度導入の間、存続に揺れた高松と宇野(岡山県玉野市)間の宇高航路など、フェリー業界も客足の回復での“即効性”は薄いとみる。

 こうした意見に対し、地元ではプラス面、マイナス面いずれにも作用しないとの見方もある。観光客を受け入れる側のジェイアール四国ホテル開発(高松市)の木下典幸社長は、「(高速道路の上限制度で)目に見える効果はなかったから、中止になってもマイナス面もない」と冷静に分析する。

 それでも、定着しつつあった中での上限1000円終了は、四国の観光振興の下押し要因になるとの懸念が残る。3月に観光振興事業計画を策定した愛媛県は「観光施設の割引きなども推進して、リピーター確保に努めたい」(経済労働部観光物産課)としている。四国4県や観光団体にとっても、一つの柱を失った中で新たな振興策を模索するという難しい局面が待ち受けている。


【2011年6月21日 日刊工業新聞社】