HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

農商工連携の今(80)埼玉・川越のサツマイモで焼酎−女性ターゲットに販路開拓

 アライ(埼玉県川口市、新井俊雄社長、048-227-0711)は、2008年に埼玉県川越市周辺のサツマイモを活用した焼酎「紅赤金時」を製品化した。高橋農園(同県三芳町)が原料を供給し、笹の川酒造(福島県郡山市)が製造を担当。フルーティーで飲みやすく、女性向きの芋焼酎として売り出している。埼玉県内の飲食店や小売店などを通じ、累計で7000―8000本の販売実績を持つ。

 新井社長が製品開発に着手したのは、5―6年前のこと。道路交通法改正で飲酒運転が厳罰化され、飲食店向け酒類の卸売りが主力の同社には逆風が吹いていた。「他社と差別化して生き残りを図るため、地域資源を活用すべきだと感じた」(新井社長)という。手始めに、取引のある酒造業者の紹介で原料の調達ルートを確保。続いて、社員同士が知り合いだった関係で、笹の川酒造と共同で製品開発に取り組んだ。「人と人のつながりによってできた製品」(同)と強調する。

 全国区のブランドとなっている“川越の芋”だが、芋焼酎に使う試みは前例がほとんどなかった。開発を始めた当初は「渋みや苦みを抑えることなどに苦労した」(同)と振り返る。麹(こうじ)の種類や発酵方法などで試行錯誤し、何度も試作した。2―3年かけてようやく「意図していた女性向けの味になった」(同)という。

 確固とした地位を築いている本場・九州の芋焼酎と異なる方向性を打ち出すため、比較的まろやかな味にしている。価格は720ミリリットル入りが1680円。容量やアルコール度数などニーズに合わせ、計3種類をラインアップしている。

 今後取り組むべきなのは一層の販路開拓。新井社長は「どれだけ紅赤金時のファンの飲食店を増やせるか」がカギと見る。より多くの店員が来店客に同社製品を勧めるようになれば、口コミにより一気に評判が広まるというわけだ。地元食材を使う店や女性向けの店などをターゲットに、営業活動を強化している。

 同時に、低価格化も試みる。現在、流通や製造の効率向上に向け模索しており、「2割くらい値段を下げる」(同)のが最終目標。平均よりわずかに上の価格帯を狙う。

 営業に関しては、開発同様に人同士のつながりを重視。「地道な対面による普及活動で、埼玉県を代表する芋焼酎に育てたい」(同)と意気込む。4―5年をかけ、年間販売量を1万本にまで伸ばす考えだ。


【2011年6月20日 日刊工業新聞社】