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農商工連携の今(77)京都産和牛、ブランド化

 健康に育てた肉牛のおいしさを伝えたい―。きたやま南山(京都市左京区、楠本貞愛社長、075-722-4131)は、焼き肉レストランの経営を通じて食肉用和牛である短角牛と黒毛和牛を交配させた「京たんくろ和牛」のブランド化に取り組んでいる。日本海牧場(京都府京丹後市)と連携し、販売拡大などをテーマに2009年2月、農商工連携事業の認定を受けた。

 国内で流通する食肉牛は約60%が輸入。国産牛(和牛)も60%が乳用牛から生まれた牛で、国内産肉用牛は黒毛和種と日本短角和種、赤毛和種、無角和種の4種に限定される。中でも黒毛和牛は血統的にサシ(霜降り)が入りやすいため、好んで生産され、流通和種全体の約97%を占める。

 ただ過剰な霜降りは技術改良で作られたもので、牛に運動をさせずビタミン欠乏症となる餌を集中投与。放牧農地の少ない日本の食肉業界が国際競争力を付けるための飼育法といえる。

 きたやま南山では食農協働レストランを目指し安全・安心な食材の提供にこだわる。メーンの牛肉は生産者が餌からこだわった良質な近江牛と、うまい赤身が特徴の岩手産短角牛の一頭仕入れを核に展開してきた。そこに日本海牧場から仕入れる京たんくろ和牛のメニューを加えた。同牧場は京都府初の日本農林規格(JAS)認定を受けるなど山地放牧による生産・肥育技術で実績を上げている。

 楠本社長は「近江牛と違い一般に知られていない食材をアピールするのは難しかった」と、霜降りではないがおいしい肉であることを地元顧客に発信。また健康な肉の摂取で糖質制限ダイエットを進めるセミナーなどを実施。牛肉の健康食品化や食育的な価値を伝えている。

 一方、生産者との商品作りも積極的に関わっていく。京都産卯(う)の花(おから)など高栄養価の餌を提案。「舌が肥えた京都人を納得させる商品を目指したい」(楠本社長)と黒毛に似せた肉ではなく、両品種の特徴を引き出した独自商品の開発を進めてきた。

 同事業における京たんくろ牛2年目の売り上げ目標は月間2頭、年間30頭。現状では市場に浸透が進み、達成が見込めるという。今後は供給量の拡大が課題だが、現状の牧場では量産に限界がある。「年間通して安定供給を図るには京都産でなく京都育ちの発想も考えられる」(楠本社長)。また、質と価格の維持・向上には普及協会創設などの検討も必要になる。


【2011年5月23日 日刊工業新聞社】