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農商工連携の今(76)国産素材の化粧品原料ー温泉水や伝統野菜を活用1

 サティス製薬(埼玉県吉川市、山崎智士社長、048−984−6433)は、国産素材を発掘し化粧品原料を開発する「ふるさと元気プロジェクト」を進めている。青森県のナマコ、埼玉県毛呂山町産桂木ユズ、京都府宇治田原町の柿渋など、これまでに開発した化粧品原料は70件。3年間で100件の開発を目指す。

 化粧品原料は化粧品メーカーなどに提案し、全国に流通、普及させる。同社は化粧品のOEM(相手先ブランド)事業を展開しており、研究開発、評価試験のノウハウを同プロジェクトに生かしている。同社の研究者が実際に全国に出向いて素材を発掘、化粧品原料開発を担うほか、全国各地の自治体、生産者から開発依頼が来ることもある。

 2010年10月には松江市の依頼を受け、市の観光資源である玉造温泉の温泉水を配合した2種類の化粧品を開発した。「姫ラボエッセンスローション」は玉造温泉水を約80%使用し、温泉の保湿成分が角質層に浸透、肌の調子を整える効果がある。「姫ラボクリアゲル」は毛穴の汚れや古い角質を取り除き、温泉水の浸透力で肌が潤う。両化粧品を通じて「玉造温泉」の存在を多くの人に知ってもらい、実際に足を運んでもらうことで地域活性化につなげるのが最大の狙い。

 このためサティス製薬は化粧品そのものの商品力はもちろん、商品をいかに広く流通させるかにもこだわる。現在、化粧品は松江市内の観光施設のほか、インターネットで販売している。松江市外の人にも商品をよく知ってもらうため、商品を紹介するセミナーを開催するなど島根県全域へ販売ネットワークを拡大していくとともに、サティス製薬が全国の取引先にも提案する。

 山崎社長は「松江市をはじめ、事業に関わる方々が地域活性化のために明確なコンセプトを持ち、熱心に事業に取り組んでいる。これが何よりの原動力になっている」と指摘。「(農商工連携は)主体者が受け身でいては成功しない」と強調する。

 ふるさと元気プロジェクトは事業開始から3年目に入った。今年から、加茂ナスなど京野菜を使った化粧品原料を「京野菜シリーズ」として展開し始めるなど新たな動きも出てきた。「日本全国にはまだまだ知られざる魅力的な国産素材がたくさんある。生産者のこだわり、素材の魅力を化粧品を通して広め、還元していきたい」(山崎社長)。将来は海外への普及を目指す。


【2011年5月16日 日刊工業新聞社】