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農商工連携の今(75)出萌の小粒大豆のモヤシ―純国産で市場に根を張る

 純国産で市場に根を張る―。出萌(いずも)(福岡市東区、岩橋孝行社長、092-663-5317)は、国産小粒大豆を原料にしたモヤシの商品化に取り組む。原料大豆の生産から国内で行い、食料自給率向上や安心安全をアピールする。これまでに培ったノウハウや販売チャンネルを生かして、新ジャンル野菜としてシェア拡大を狙う。

 出萌はモヤシなどの食品を生産、全国に販売する。国産小粒大豆を使ったモヤシは2008年に着手した。中国製冷凍ギョーザ中毒事件による、食の安心安全意識の高まりがきっかけだ。

 国産モヤシは輸入品の緑豆やブラックマッペを原料にしたものが多い。だが大豆は緑豆よりもたんぱく質を豊富に含み、栄養価が高い。そこで安全性、高栄養価など付加価値を加えたモヤシ生産に乗り出した。

 国産大豆の多くは豆腐などの加工用に用いられ入手が難しい。また豆の部分が吸水して約3倍に膨らむため、一般的な大豆では調理しづらい。そのため原料大豆は「すずおとめ」という、約3分の1の大きさの品種を使う。連携体を組む小松共同機械利用組合(佐賀市)が、モヤシ専用に佐賀県内で栽培する。

 「モヤシを大量かつ高品質に生産するには技術が必要だ」と、出萌の大坂賢二社長室長は力を込める。温度と時間管理が難しいため、同社では独自の「気耕栽培」という栽培方法で行う。

 自社開発した、ピーナツが原料の「ピーナッツもやし」の設備を応用する。最低限しか水分を与えず大気中で栽培するため植物にストレスがかかり、種の保存により強く育つ。「常に水があるとモヤシが怠ける。スパルタ式栽培だ」と大坂社長室長は笑う。

 11年度中に量産へ向けた段階に入る。13年度に日産500キログラムを目指す。また規格外品を加工して販売することで、歩留まり解消と、農商工連携を積極的に進める。

 国産小粒大豆モヤシの味はクセがなく、使い勝手がよい。また1週間程度は日持ちするため、通常のモヤシの2―3日に比べて、長時間配送にも耐えやすい。ピーナッツもやしを販売するベネフィット(福岡市南区)の販路を活用して、飲食店など業務用中心に全国に販売する。価格は100グラム当たり約100円と、緑豆モヤシの3倍だが、高付加価値で売り上げを狙う。「将来はモヤシ市場600億円の5%を取りたい」(大坂社長室長)と、商機の芽を伸ばす。


【2011年5月9日 日刊工業新聞社】