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農商工連携の今(74)チーズ製造機、日本人好みに

 「徐々に軌道に乗り、成果が出ている」。大生機設(静岡市葵区、尾形昭生社長、054‐251‐2954)は、農商工連携認定事業で小型チーズ製造機を開発し、酪農家などを中心に7台を納入した。今後は「柱の製品にしたい」(尾形社長)と意気込んでいる。

 同社が小型チーズ製造機の開発に着手したのは酪農業の井出種畜牧場(静岡県富士宮市)を経営する井出行俊社長からの依頼がきっかけ。国内の牛乳消費が伸び悩む中、余乳の有効活用が課題になっていたからだ。しかし、5年前のその当時、チーズ製造機は欧州製の大型機械がほとんどで、手軽に導入できる小型機がなかった。

 大生機設は食品機械や厨房機器の設計・製作が主力で、井出社長の申し出を受けて開発に乗り出した。「どうせやるなら日本人好みの風味や食感を持ったチーズを作ろう」と意気投合。2009年度に農商工連携事業の認定を受けて、本格的な開発を始めた。

 チーズ製造は、生乳を殺菌し濾過した後、乳酸菌添加、凝固、水分(ホエー)抜き、練り上げ、成型、加塩といった順に進められる。良質な生乳は井出種畜牧場で得られるが、製造の各工程での微妙な調節がチーズの味を左右する。両社はチーズのきめ細かさを実現する酸味バランスの最適化を求めて温度、量、時間、生乳の質など様々な条件について研究した。

 そしてその研究結果をもとに、生乳の加熱殺菌から乳酸発酵、撹拌、ホエー抜き、固形乳の取り出し、練り上げまでを行う「チーズバット」を開発。さらに微妙な温度や湿度を調節できる熟成庫も完成し、理想のチーズづくりに踏み出した。

 目指すは「富士山高原発ナチュラルチーズ」の完成。従来のチーズとは異なり、わさび、醤油などにマッチする和食感覚で日本人の嗜好にあったチーズだ。現在、牧場のグループ会社で飲食料品小売業の「いでぼく」のチーズ工房に製造機を設置し、商品化に向けて試行錯誤を繰り返しているほか、チーズを任意の形に成型する押出成型機の開発も推進中だ。

 小型チーズ製造機は一足先に外販を開始。誰でも簡単に扱える点が好評で、すでに国内の酪農家や大手チーズメーカーなどに納入。最近は国内だけでなく欧州からの引き合いもあるという。

 今後は「早くチーズを商品化し、富士宮のチーズブランドの確立を目指す。そして富士宮チーズバレーを構築したい。チーズを通して富士宮を全国、世界に発信したい」(尾形社長)と夢は広がるばかりだ。


【2011年5月2日 日刊工業新聞社】