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農商工連携の今(73)鮮魚の相対取引システム開発

 旬材(大阪府吹田市、西川益通社長、06-6386-9992)は、通常の流通に乗らない魚の卸販売に力を入れている。西川社長は創業前に勤めていた大手造船会社で漁船を13万隻以上売り、全国の漁師とのネットワークを築いてきた。その西川社長に国から離島の漁業活性化の相談が持ち込まれた。「離島の魚は一括委託販売のため、あまり高く売れない、新規開拓もできないという悩みを抱えている」(西川社長)。

 そこで産業技術総合研究所の研究成果を活用。ITにより、漁業者が量販店や外食産業と仲介なしの相対で水産物を予約取引できる流通システム「スカウト」を開発、試験運用を始めた。2011年度中にも本格運用に乗り出す。

 スカウトは水産物予約販売システム「SCORE(スコア)」とリアルタイム販売システム「SCSS」の二つで構成。スコアはこれまで難しかった水産規格外品や突発的に水揚げされたり、漁獲量の少ない希少な魚などを事前予約で売り出すことができる。買い手の量販店や外食チェーンなどは、希望の注文量を漁業関係者に予約注文し、漁業関係者は事前に量と価格を確定して出漁できる。

 またSCSSは動画と音声で水揚げ状況を確認しながら、全国産地市場の鮮魚をリアルタイムで買い付ける。出荷搬送は水揚げから最長でも24時間で可能だ。「スコア」の導入費は漁業者は無料で買い手は10万円、月額会費1万円を予定。11年度中には売り手と買い手が価格を出してマッチングできる機能を追加する。

 特に行政支援を受けた長崎県の美津島町高浜漁協や豊玉町漁協、島根県の海士町漁協が当初から積極的に協力している。現在は試験運用ながら売り手が89会員、買い手は業務用スーパーなど1450会員に広がっている。

 漁協関係者からの関心も高く、西川社長は全国の漁協からの講演依頼を受け飛び回っており「漁業者の安定した売り上げの確保、買い手の安定供給、消費者の食の安全で日本の食と漁業を守りたい」としている。

 旬材では今回の東日本大震災で大打撃を受けた東北地方の漁業関係者向けの復興支援に同システムを役立たせたいと考えている。西川社長は「心ある外食産業が1ケース単位でもいいので中長期的に購入支援をしてもらえるように準備を進めていきたい」と意気込む。


【2011年4月25日 日刊工業新聞社】