HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

東日本大震災/東北の私鉄、復旧に苦慮−資金力不足が障害

 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東北地方の私鉄や第三セクターの鉄道が復旧に苦慮している。被災した鉄道会社は懸命な復旧作業を進めているが、JRグループに比べて資金力に乏しい私鉄などにとっては、多大な復旧費用の捻出は難しい。東北地方の鉄道網の蘇生には、国の全面的な支援が不可欠だ。(江刈内雅史)

【いまだ全線不通】

 岩手県宮古市から久慈市を結ぶ北リアス線と大船渡市と釜石市の間の南リアス線を持つ三セクの三陸鉄道(盛岡市)は、東日本大震災の津波によって、鳥越駅の駅舎がまるごと流出したり、多くの線路が津波にのまれたりして「甚大な被害を受けた」(望月正彦三陸鉄道社長)。南リアス線はいまだ全線が不通のまま。北リアス線は一部区間で運転を再開したものの、輸送力は震災前の一割程度にとどまる。

 三陸鉄道は地元自治体の支援を受けながら、全面復旧を目指す考えだが、資金の壁が立ちふさがる。復旧にかかる費用は最低でも100億円。現行の災害復旧支援制度では、費用の4分の1を国が補助するものの、「仮に復旧費用が100億円だとしても、75億円は地元で準備しなければならない。県も市町村も会社も負担できる金額ではない」(同)という。

【自力復旧は困難】

 仙台空港アクセス線を運営する仙台空港鉄道(宮城県名取市)も自力復旧は困難な状況だ。トンネルが水没したり、運輸司令所が土砂にうずまったりして、同線はいまだ運転再開の見通しが立たない。斉藤進仙台空港鉄道社長は「復興のシンボルとして仙台空港の全面再開とあわせて、鉄道も全面再開に向けて頑張る」と復旧への意欲をみせるが、「甚大の被害なので自社のみでの復旧は財源的にも技術的にも至難の業だ」という。

【国に支援要請】

 東北地方の私鉄や三セク、地下鉄の20業者で構成する東北鉄道協会(澤田長二郎会長=津軽鉄道社長)は14日、国土交通省の久保成人鉄道局長を訪れ、補助率のかさ上げや、補助要件の緩和などを求めた。

 現行の復旧支援制度は、東北の鉄道が東日本大震災で受けた傷跡を癒やすには力不足。新制度を創設するぐらいの大胆な措置が求められている。


【2011年4月20日 日刊工業新聞社】