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農商工連携の今(71)大豆発酵食品「テンペ」

 登喜和食品(東京都府中市、遊作誠社長、042‐361‐3171)は「生テンペ」を開発販売する。テンペは大豆を使ったインドネシア発祥の発酵食品で、食物繊維やγ―アミノ酪酸(GABA)を多く含んでいる。遊作社長は「テンペは体に良い。だが、毎日のように食べるにはおいしくないと続かない」と“生”にこだわった理由を明かす。

 テンペは栄養価が高い半面、雑菌が繁殖しやすく、殺菌のために加熱するとうま味が失われてしまう。そこで製造工場にクリーンルームを設置したり、包装時に酸素を除いたりと雑菌の増殖を防いでいる。“生”のテンペは大豆の風味が残り、味はほんのりと甘く「インドネシア人がまるでお菓子だと驚いた」ほどだ。

 だが事業運営の道のりは険しい。そもそもテンペ自体を知っている人が少なく、市場を一からつくる必要がある。そこでテンペを使ったレシピ開発や、クッキー、アイスクリームなど製菓会社と連携して商品を開発している。一つの商品で成功するわけではないため、飲食店のメニューや菓子などさまざまなアプローチでテンペを売り込む必要がある。パートナー探しは社長自ら奔走する。「農家は土地から離れられない。製造業が動かないと事業は進まない」と明かす。

 「パートナーに体にいいことをデータで説得し、特許をおさえてビジネスモデルをつくるのは製造業の社長の仕事」と強調する。

 農商工連携事業に認定されると中小企業基盤整備機構のコーディネーターからマッチングなどの支援は受けられるが「やはり社長が動かなければ始まらない。支援に頼っていてはビジネスはつくれない」と強調する。規模を急に大きくすることは考えておらず「ビジネスを大きくすることはできるし、そのためのノウハウは蓄えてきた。ただ、我々の商品にかけている思いを理解してくれる相手と組みたい」と打ち明ける。

 そのため巨大な市場ばかりを狙うことはせず、生活協同組合や学校給食など、大きくはないが品質を求められる分野で実績を伸ばしている。2010年度はテンペ関連製品で2000万円を売り上げた。100円や200円の商品をコツコツと積み上げた成果だ。

 今後は「硬さを調節すればかむトレーニングになり、食物繊維の効果で運動のできない患者さんもお通じが良くなる」などの利点を売り込み、病院食や介護予防食の市場を開拓していく予定だ。


【2011年4月11日 日刊工業新聞社】