HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

東日本大震災/経産省、伝統工芸の復旧策練る

 東日本大震災の被害は、織物や陶器、木工品などの伝統工芸品産業にも及んでいる。経済産業省の6日までの把握では、宮城県石巻市雄勝町の「雄勝硯(すずり)」全工場が津波により流失。福島県浪江町の「大堀相馬焼」や盛岡市と奥州市の「南部鉄器」などと合わせ、合計6品目の産地で生産設備や商品が流失、損傷の被害を受けた。伝統工芸品産業は雇用に加え、商品のブランドが地元の誇りにもなっており、復旧策を練る。

 経産省が把握したのは、経産相が指定する「伝統的工芸品」の産地。全国で211品目を指定しており、このうち東北地方には21品目の産地がある。

 最も被害の大きな産地が、雄勝硯を生産する宮城県石巻市雄勝町。海岸沿いに工場があったため、津波により全工場が流された。従事者1人が行方不明。また、陶器の大堀相馬焼の産地である福島県浪江町でも窯が崩れるなどの被害を受けた。同町は多くの地区が、東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロメートル圏内の避難指示地域にあり、復興作業自体ができない。

 このほか南部鉄器や、茨城県笠間市などが産地の陶器「笠間焼」、栃木県益子町の陶器「益子焼」の産地でも、窯や型が崩れるなどの被害が出た。

 経産省は各産地に対し、運転資金や再開に必要な設備投資資金の資金繰り支援など、中小企業に向けて現在行っている施策を適用する。雄勝硯と大堀相馬焼の2品目は特に産地の被害が大きいため、個別に相談を受け付けて復旧策を練る。

 地元からは雇用だけでなく、全国的な知名度を誇るブランドが心理的な支えになっているため、早い復旧を望む声が多い。経産省としても「クールジャパン」戦略の一環で、伝統工芸品を海外でのニーズや好みに合わせ輸出しようとしている。経産相指定の伝統的工芸品の全国生産額は、1281億円(2009年度)。関連産品まで含めると5000億円程度の規模がある。


【2011年4月7日 日刊工業新聞社】