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農商工連携の今(70)クレソン未利用部位で漬物

 クレソンは独特の辛みや苦みを持つ野菜で、肉料理の付け合わせなどに使う。主に生食用として栽培しているが、新芽より下部の茎に近い部分などは生食用に向かず、歩留まりが悪いことが栽培業者の悩みだった。漬物製造に50年以上の実績を持つ、みしな食品(甲府市、三科正樹社長、055-228-1347)は、クレソン栽培の大辻クレソン(山梨県道志村)と連携してクレソンの未利用部位を使った漬物の商品化に取り組んだ。

 みしな食品は漬物と総菜の製造・卸を主業務としている。漬物では国産野菜を使った漬物にこだわり、作り手や味の違いがアピールできるキムチを得意とする。材料の野菜は地元を中心に近県の契約農家から直接仕入れている。

 クレソンの漬物化にあたっては大辻クレソンから未利用部位を加工商品に利用できないか、と相談を受けたことがきっかけ。「調べてみると商品化されているものがなく、チャレンジしてみようと考えた」(三科社長)。2009年から本格的に開発をスタートさせた。

 味や香りが強いのがクレソンの特徴で、漬物にしたときに特有の味を消さずに繰り返し食べたくなるような味に仕上げることが難しい。東京ビッグサイトなどで行われた県産品を紹介する展示会に出展し、来場者に実際に食べてもらい、意見を聞きながら味を作り上げていった。試行錯誤を繰り返し「味が固まるまで2年くらいかかった」(同)という。

 収穫してから、ほぼ1週間で製品にするため、安定した供給は欠かせない条件となる。大辻クレソンは道志村のほかに比較的暖かい静岡県で栽培を行っている。冬の寒い時期は静岡県からクレソンを確保することで安定供給する体制を整えた。

 製品名は「富士クレソン漬物」。クレソンは抗酸化作用があるとされるポリフェノールを多く含むことから、健康志向の強い中高年層にアピールする。また、栽培に富士山系の湧き水を使用し、地元には地産地消の商品である点も訴える。

 現在、しょうゆ、キムチ、浅漬け、ピクルス味の4タイプを開発中で、今春から県内スーパーを中心に発売する。販売戦略は「今までにない商品なので、今後も展示会などに出展していき、引き合いに丁寧に対応していく」(同)ことを重視する。13年度には約2500万円の売り上げを見込んでいる。


【2011年4月4日 日刊工業新聞社】