HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

東日本大震災/ホテル業界、外国人のキャンセル続出

 東日本大震災の影響でホテル業界が苦戦している。地震の発生に加えて原子力発電所の被災が海外で盛んに報道されている影響などで、外国人の宿泊予約のキャンセルが続出しており、「今は外国人の予約が皆無に近い状態」(帝国ホテル)。近年は官民こぞって訪日外国人旅行(インバウンド)に力を入れてきたこともあり、都内のホテルはさまざまな宿泊プランを用意して外国人宿泊客の誘致を促進してきたが、それが裏目に出た格好だ。当面、外国人宿泊客の回復は期待できないため、業界では4月以降に国内観光客向けに新たな宿泊プランの提案などを考えている。

 京王プラザホテル(東京都新宿区)では3月の第1週までホテルの稼働率は90%を維持。それが震災以降、50%を切る状態になっている。地震の発生した11日から3日間は「国内外で毎日200―300人の宿泊キャンセルが入っていた」(京王プラザホテル)とし、現在も原発関連の海外報道で外国人の客足が伸びる気配はない。もともと同ホテルは外国での知名度も高く、宿泊客のうち平均60%程度が外国人で、このうちビジネスと観光が半々の比率だという。

 帝国ホテルも、80%台だった稼働率が地震以降40%程度に落ちた。同ホテルの場合、外国人宿泊客の比率は平均で約40%だが、これが大幅に低下したことが影響した。「例年なら桜の季節はフル稼働に近い」(帝国ホテル)が、原発など今後の情勢次第では4月以降も伸び悩む可能性が高い。

 シャングリ・ラホテル東京(東京都千代田区)は21日に当面休業することを発表した。5月からの予約は受け付けているものの、「少なくとも4月一杯は休業」(シャングリ・ラホテル東京)する見込みだ。同ホテルでは休業の理由について、「宿泊客や従業員が安心できない」ことや「食材の調達やリネン類の交換などサービスの維持ができない」ことをあげている。同ホテルは国際的な高級ホテルチェーンということもあり、管理職やシェフに外国人が多い。また、ほとんどの宿泊客はアジアの富裕層だ。

 ホテルでの宴会開催の自粛も収益への影響も大きい。延期ではなく中止の場合もあり、当面“自粛ムード”が収まる気配はない。

 各ホテルでは落ち込んだ需要を回復するため、4月以降に新たな宿泊プランなどを検討している。京王プラザホテルでは連泊する宿泊者への優待や家族や友人たちとゆったり過ごせるプランなど考えている。また、帝国ホテルでもこうしたプランを検討している。

 京王プラザホテルでは「原発とは関係なく、まずはサービスレベルの維持に努める必要がある」としたうえで、「食材などが一部入手しづらくなっているが、代わりの食材を使って料理の質を落とさない」などの工夫をしている。

 もっとも原発などの問題が4月までに解決している保証はなく、宿泊客の落ち込みが長期化する恐れもある。今後の見通しは不透明だ。


【2011年3月29日 日刊工業新聞社】