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東日本大震災/水産も打撃、1000億円−水産庁・全漁連支援へ

 東日本大震災による東北地方の水産業(漁業・養殖業)への打撃は、岩手・宮城・福島3県の生産被害額で年1000億円規模に達する見通しだ。3県の水産業は太平洋での漁に依存している。主要な漁船が操業できず、多くの漁港が機能を失っているとみられ、各県の漁獲量が大幅に減るのは必至だ。水産庁と全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)は安否確認や被害状況の把握など復興支援を最優先に動くが、復興にはかなりの時間を要しそうだ。(清水耕一郎)

 水産庁によると2008年の全国の漁港別水揚げ量は上位10港のうち5港が東北地方の港。石巻が3位、気仙沼が4位、八戸が5位、女川が6位、大船渡が10位だ。この5港で全国の水揚げの約14%を占める。サンマやサバ、サケ、カツオなどのほか、ワカメやカキの養殖業も盛んだ。

 だが、今回の震災で漁船が流されたり、漁港機能も止まったままで甚大な被害を受けた。農林水産省によると09年の水産業(海の漁業と養殖業)の生産額は岩手県453億円、宮城県829億円、福島県208億円と合計1490億円に上る。3県の生産額はすべて太平洋の水揚げによるもので、地震の影響をそのまま受ける可能性が高い。1月から地震発生前までの水揚げもあるが、「今の時期はどちらかといえばオフシーズン。サンマやカツオなど秋以降のボリュームが大きい」(関係者)。

 JF全漁連は各県の安否確認や状況把握を急いでいる。16日現在までに北海道や岩手県、青森県、宮城県、茨城県、千葉県の漁連とは連絡がとれている。だが、JFみやぎの支所とは連絡がとれず、各県の漁協単位までは把握しきれていない。また各地域にJF全漁連の漁船用重油タンクがあるが「気仙沼はすべて流され、石巻は連絡がとれない。大船渡のタンクだけ無事だった」(JF全漁連)。

 またJF全漁連では被害状況の確認とともに被災地に救援物資を届けている。15日には岩手県災害対策本部(岩手産業文化センター)に向けて第1便が出発。インスタント食品や食パン、ソーセージ、缶詰、シャツ・下着などを10トントラックに積んで輸送した。第2便、第3便も近く宮城や福島へ向かう予定。これに先だち、水産庁も官庁船「東光丸」で粉ミルクや水、軽油などを被災地に送った。

 東北地域は漁業のみならず、港に水揚げされた水産物や輸入魚を干物や漬魚用に切り身にするなど水産加工業が盛んだ。だが、今回の震災で加工場が使えなくなったり、在庫を保管していた冷蔵庫が流されたりする被害が拡大。都内の水産商社は「まだ5社の取引先と連絡が取れていない」という。

 その一方、東北からの水産物の供給がほぼ断たれている中で代替品への動きも強まっている。スーパーや外食などは商品の安定供給を図るため、九州や瀬戸内など西日本地域の加工業者や千葉の缶詰業者に打診している模様だ。水産商社は「西日本の加工業者からサバやイワシなどの原料手当てのほか、中国産加工品の引き合いも急増している」と話す。

 三陸沖から常磐沖は水産資源が豊かで、東北地方の沿岸部には日本屈指の漁港が立地している。水産物の一大供給基地である東北地方を襲った地震被害は、生産から加工、流通まで広範囲にわたっている。


【2011年3月17日 日刊工業新聞社】