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産業がわかる/埼玉・春日部の桐箪笥−需要開拓へ市と連携

 春日部桐箪笥(たんす)は約300年以上続く、埼玉県春日部市を代表する地場産業の一つ。日光東照宮造営で集められた工匠らが春日部地区に残ったことや、同地に桐が多く繁茂していたことから桐箪笥が製造されるようになった。他の木材を一切使用しない“上物”と言われる桐箪笥を作り続けているのが特徴だ。

 生活様式の変化で、桐箪笥市場は年々縮小している。春日部の場合は全国の他の桐箪笥産地と比較し、木地加工、仕上げ加工業者が同じ産地に集積していることや、東京に隣接する立地条件から販売店などを通じて定期的に修繕依頼が来ることで一定の利益を得ているが、今後どう新規需要を掘り起こしていくかが問われている。

 また後継者不足も大きな課題。春日部地区の桐箪笥工房などで構成する春日部桐たんす組合には現在13社が所属。同組合の島田利雄会長は「組合の前身が発足した1979年と比べて社数は半分以下に減少した」とし、市場縮小に伴い、廃業や業態転換など供給者側も減少傾向にあるという。

 こうした課題の解決に向けて、同組合が昨年から取り組んでいるのが春日部桐箪笥技術継承者育成事業。桐箪笥製造の技術継承を3カ年計画で行う。県内で桐箪笥製造を学びたい人を募集したところ、10人の定員に対し、80人と応募が殺到した。長年同地に伝わる桐箪笥製造工程をまとめた教材も作成。20―50代が学んでおり4月から各工房に配属、現場で桐箪笥製造に携わる。

 また、春日部市と連携し「春日部桐たんす伝承士&PR大使養成講座」を開講している。春日部桐箪笥に興味のある人を対象に、歴史や技術に関する授業を受けてもらい、認定試験に合格した人はPR大使として情報発信できるというもの。「市の観光施策とも連動させ、観光客に魅力を伝えていく」(同)考えだ。11月には東武鉄道春日部駅近くで伝統産品のイベントを開く予定。後継者養成や観光事業とのタイアップで桐箪笥の魅力を再確認する機会を増やしていく。

【POINT】
1.市場は縮小、修繕が収益のメーンに
2.後継者育成を開始、応募者殺到
3.市と観光事業でタイアップ、魅力を再発信


【2011年3月8日 日刊工業新聞社】