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産業がわかる/堺市の刃物産業−米でイベント、魅力PR

 堺市は包丁やナイフなどの一大産地で、同産地製の刃物は「堺刃物」と呼ばれる。同刃物のメンバーは包丁を形作る「鍛造屋」、刃を付ける「研ぎ屋」、企画・販売をする「問屋」の3業種で構成される。職人が一つずつ手作業で製造。工業製品に比べ切れ味が良く、レストランや料亭で使われる業務用高級包丁の90%が堺包丁だとも言われる。近年は国内他産地や海外で製造された工業生産品の普及もあり、生産量は減少傾向。産地は危機感を持っている。

 堺刃物協同組合(堺市堺区)の理事長を務める森本刃物製作所(同)の森本光一社長は「廃業者もいるので仕事量が大きく減ることはないが、単価が下がっているため厳しい状況だ」と現状を分析する。「単価が下がっても、要求される品質は上がっている。簡単な仕事が減ったため弟子に任せられる仕事も少なくなっており、このままでは技能伝承にも不安がある」と表情を曇らせる。高品質な堺刃物を知ってもらうため、伝統工芸をテーマにした展示会にも積極的に出展。包丁の製作体験や対面販売を通じて、堺刃物の魅力を消費者にPRしている。

 産地を支援するため、堺市は2009年から海外で堺刃物のPR事業を行っている。09年度は米国ニューヨークのメトロポリタン美術館でイベントを開いたほか、10年度には同じく米国ニューヨークで「堺刃物フェア」を開催した。来場者の反応は上々で「堺市内の問屋によると、09年度から10年度にかけて米国向けの出荷が大きく伸びた」(堺市商工労働部)と、一定の成果が出ている模様だ。11年度も引き続き支援を行う方針。

 日本製の包丁は海外製品に比べ切れ味が良く、外国のシェフにも愛好家は多い。PRにより堺刃物の認知度が高まっていけば米国以外の国・地域でも拡販が期待できる。海外進出に意欲をみせる国内の他産地との競争も激しくなると予想され、「メード・イン・ジャパン」を越えた「メード・イン・サカイ」の魅力をどう発信するかが今後の課題だ。

【POINT】
1.中世以来の一大産地
2.和食文化の衰退による生産減
3.高品質を武器に海外拡販


【2011年3月8日 日刊工業新聞社】