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農商工連携の今(68)京タケノコ、旬の味一年中

 小川食品工業(京都府長岡京市、小川修司社長、075-951-4381)は、京都・西山丘陵産の京タケノコの冷凍加工品開発に乗り出した。産地生粋の食品メーカーとして「春季に限られてきた生タケノコの味や歯触り、風味を年中、楽しめるようにしたい」(小川社長)という思いから、タケノコ農家の指導にあたるJA京都中央(京都府長岡京市)と組み、2011年2月に農商工連携事業の認定を受けた。

 長岡京市のある旧乙訓郡は古くからの竹産地。日本で孟宗(もうそう)竹発祥の地の一つと伝えられ、凶作時の食物にもなってきた。地下水で適度に湿った赤土粘土質の土壌に加え、肥料まきや親竹の先止め、間引きなどの手入れが、白く軟らかなタケノコを生む。

 3月から5月にかけてまだ地表から10センチメートル以上も下に隠れたタケノコを、独特の細長い刃のくわで掘り上げる。夜明けから8時半ごろまでの“朝掘り”ものが珍重され、その日の消費量しか収穫しない。だが、京タケノコの生の風味を残す加工法があれば生産拡大の余地は大きい。

 タケノコ加工品は中国産などの水炊き缶詰め製品が大量に出回り、ビニール袋などに小分けされて売られている。小川食品も1927年(昭2)の創業当初から京タケノコの缶詰めを生産し、つくだ煮など味付け商品も手がける。2010年には京都西山産タケノコの70%に当たる350トンを仕入れ加工販売している。

 最近では生タケノコを皮つきで高温殺菌した加工品を開発したが、「少し軟らかすぎる。掘りたてに比べ少しえぐみがあるのも気になる」と自己判定。改めてチャレンジしたのが急速冷凍による加工法だ。

 小川食品が選んだのは米田工機(神戸市西区)のアルコールと強電場を使った冷凍装置。最良のタケノコが収穫できる期間は10―15日。その間に「どれだけ稼働サイクルを上げ処理量を稼げるか」(小川社長)で決めた。

 同装置では3万ボルトの電圧をかけたアルコール液に、掘りたてで皮のままゆでたタケノコを入れ、マイナス35度Cまで急冷。1時間半で1ロット100キロ―150キログラムのタケノコを凍結処理し、最低でも日量1トンを処理できる。

 すでに料亭などの有力顧客にテスト供給を始めており、凍結後に水炊きしたものや味付け品も開発する計画。通信販売も行い、需要が増えれば凍結装置のレンタルによる増設で対応していく。

 JAとしても京タケノコ栽培履歴管理のルール化などを進め、タケノコ農家の増収につなげる。


【2011年3月7日 日刊工業新聞社】