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農商工連携の今(63)イチゴ栽培、オゾンで殺菌

 クリスティ(大阪府富田林市、佐々木智彦代表社員、0721-70-7468)は、清水電工社(兵庫県尼崎市)、布引施設園芸組合(長野県小諸市)と共同で、オゾンによる殺菌消毒機能を持つ水耕栽培用溶液循環システムの製造販売と、それを使ったイチゴの生産販売、観光農園事業を進めている。2010年3月に農商工連携事業へ認定され、1号システムが布引施設のイチゴ観光農園で稼働している。

 発光ダイオード(LED)照明普及などを背景に、付加価値の高い果物や野菜、有用植物の水耕栽培が新たな脚光を浴びている。人工的に管理された環境で植物を育てるため、LEDだけでなくFAやセンサー技術などがフル活用されている中で、クリスティの佐々木代表が着目したのは植物に水分や栄養素を与える培養液の管理。

 培養液は雑菌などの侵入を極力排除しているものの、定期的に殺菌処理をしないと連作障害や病気につながる。それも薬剤などを使った殺菌処理ではなく、「殺菌力が強く、残留性のないオゾン水を使った殺菌が一番」(佐々木代表)と考えた。

 水処理大手企業の技術者OBとして多様な経験を踏まえた判断で、連携事業認定を機に布引施設のイチゴ水耕栽培でさっそく実用化した。

 同施設はハウス栽培などにより国内有数のイチゴ苗生産規模を誇る。並行してイチゴ観光農園も経営している。浅間山麓の冷涼な環境と、苗の植え付け時期を少しずつずらすなどの工夫で、イチゴはほぼ通年収穫できる。

 水耕栽培の方法は、ラック上にとい状の栽培溝をセット。粒状のロックウールを敷いてイチゴ苗を植え、根の部分へ培養液を流して循環使用する。循環途中に設けたタンクに適時オゾンを吹き込んで殺菌。別の箇所で液量変化を測定し養分補給していく。

 オゾンは塩素の7倍の殺菌力を持つが、濃度150―200ppmのオゾンガスを吹き込んでも水溶液中へ溶けるのは1―2ppmで、無毒。しかもすぐに酸素へ還元されるため、培養液の溶存酸素量を増やして植物の成長を促す。オゾン発生装置の消費電力も20ワットと小さい。

 同殺菌システムは、連携プロジェクト以外でもレタスやサラダホウレンソウ、無菌苗工場などに使われ、実績を上げている。またオゾン発生装置と水道水供給配管を組み合わせたオゾン水生成装置も製品化。食品工場の入出に伴う手・履物の殺菌システムに導入されたほか、工場ライン、床などの洗浄殺菌水への利用も提案している。


【2011年1月24日 日刊工業新聞社】