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首都圏リポート/千葉・銚子市が観光振興に力−宿泊客減対策に知恵絞る

 千葉県銚子市が観光振興に力を入れている。日本屈指の水揚げ量を誇る銚子漁港を抱え、農業産出額でも県内第3位の実力を持つ銚子市は、新鮮な「食」の魅力で多くの観光客を惹きつけてきた。とはいえ、黙っていても観光客が集まる時代は過ぎた。宿泊客の減少も深刻さを増している。財政危機にある市はお金をかけずに集客しようと知恵を絞る。市内の旅館業者も結束して危機打開を目指す。観光振興を通じて市内全体の活性化につなげようとする同市の取り組みを追った。(千葉・斎藤正人)

 2009年に銚子市を訪れた観光客は277万4000人。5年前に比べて約15%増えた。千葉県が観光振興に力を入れ始めた07年頃から銚子市でも歩調を合わせ、神社仏閣巡りや「すし祭り」といったイベントなどを地道に続けてきた。今年もマグロの解体ショーと合わせた「かもめウオッチングツアー」や、全国的にも珍しい地層が観察できる屏風(びょうぶ)ケ浦一帯を中心に「銚子の地層探検ツアー」の開催など、銚子市ならではの観光資源を活用した取り組みに力を入れる。

 観光客数が堅調な伸びを示す一方で、宿泊客の減少は深刻さを増している。旅館やホテルが集まる銚子市東端の犬吠埼エリア。離島や山頂を除くと日本で一番早く初日の出が見られる犬吠埼は今年の元旦も大勢の人びとでにぎわったが、普段は「不況の影響か、昨年の2月ごろからずっと客足が悪い。前年比で3分の2程度まで落ち込んでいる」(加瀬茂銚子旅館組合副組合長)。

 不況だけでなく、建物の老朽化も足かせになっている。周辺一帯は水郷筑波国定公園に含まれるため、建築許可に関する厳しい規制がかかる。現在建っている旅館やホテルはほとんどが約40年前に建ったものだが、改築はおろか間取りの変更もままならない。

 厳しい状況を旅館のオーナーたちは横のつながりを強化することで乗り越えようとしている。宿泊プランの共有や飲食店組合との連携も進んだ。最近のニーズに合わせた“0泊2食”なども浸透してきた。昨年7月には旅館組合が中心になって電動アシスト付き自転車を貸し出すサービスも開始。自転車の稼働率は3割弱だが、日帰り客の滞在時間が大幅に伸びたというデータも出ている。「とにかく外から遊びに来てもらわないと始まらない。観光客の選択の幅を広げたい」(同)。

 古くからの観光地である銚子市だが、産業の中心はあくまでも漁業や農業。それでも市が観光に力を入れる背景には、人口減少に歯止めがかからない現状がある。市の人口は現在7万人弱。この10年で約1万人減少した。外部に市の魅力を積極的にPRすることは、定住人口を増やす上でも不可欠。市を挙げての取り組みは、始まったばかりだ。


【2011年1月14日 日刊工業新聞社】