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ツイッター、自治体で活発化(下)

 【大阪府】

 大阪府商工労働部商工振興室経営支援課が運営する「大阪府産業デザインセンター(OIDC)」は、中小企業の商品開発や経営をデザインの側面から支援する機関。モノづくり企業とデザイン事業者が交流を深める「ビジネスマッチングブログ(BMB)」というブログサイトを作っている。現在、480社以上がBMB会員として登録し、サイト上で情報を発信している。

 OIDCは2010年4月に、BMBと連動させる形でツイッターの活用を開始した。アカウントはBMB事務局として取得。BMB会員のうち、アカウントを持つ112社の企業に事務局をフォローしてもらっている。

 OIDCの川本誓文主任研究員は「会員同士がツイッターでやりとりを始め、緩やかにマッチング成果が出てきた」と手応えを感じている。一方で、「ツイッターを使う企業と使わない企業に2極化している」(川本主任研究員)など、課題も浮き彫りになった。

 川本研究員は「ツイッターやブログは経営者の人間性など、可視化されていない企業の資産を積み上げる有効な装置」とメリットを強調する。そのため、「ネット上だけで何とかしようとせず、企業の人と実際に会って(インターネットツールの)良さを伝えるようにしている」(同)と話す。

 【大阪市】

 大阪市は「市民協働」をウリにした情報発信を展開中だ。(DO KYODO)のアカウントで、2010年10月に始めた。「地域防災対策などをより多くの人に認識してもらう」(大阪市情報公開室)狙いだ。12月20日までのフォロー数は709人、つぶやきは268件を超えた。

10月には心斎橋アメリカ村での清掃イベント「コスプレゴミ拾い」を写真つきで実況。このほか、市内の防犯イベントから12月のOSAKA光のルネサンスでのラバーダック展示、防犯イベントなど多様な情報を発信している。

 平松邦夫大阪市長は、個人のアカウントとして5月にツイッターを開始した。とはいえ、つぶやく内容は市の施策にかかわるものがほとんどだ。6月には、猪瀬直樹東京都副知事と水道事業をめぐり“論戦”を展開した。大阪市の水道局員の年収は相場に比べて割高感があると指摘した猪瀬副知事に対し、平松市長は市の資料を提示して訂正を求めた。フォロワーからは「双方向のやりとりにより何が正しいのかはっきり分かった」など、上々の評価を得ている。

 ツイッターは個人の情報発信にとどまらず、手軽に双方向のコミュニケーションが図れる。行政に求められている情報の可視化を実行しやすいツールになるのかもしれない。

 【香川県】

 7月19日―10月31日までの間、瀬戸内海の七つの島々などを舞台に開かれた現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2010」。当初予想の3倍超の約93万人が来訪。日銀高松支店と実行委員会が試算した経済効果は111億円で、当初の50億円を大きく上回った。

 公式アカウント取得は09年4月。香川県の増田敬一瀬戸内国際芸術祭推進室主任はツイッターが「今ほど普及していなかった時期」と振り返る。ただ、海外からの観光客を取り込む狙いもあり、費用負担がかからない販促材料としてツイッターをいち早く導入していた。

 開幕前はアートの島で有名な直島での展覧会情報などを発信し、開幕直前の10年6月には約6000人がフォロワーとなった。芸術祭の開幕時にはツイッター自体の注目度が高まり、芸術祭の会期の後半には来場者数も爆発的に伸長。混雑状況をツイッターで発信するなど活用効果も大きく、フォロワー数も会期末近くの10月22日に最大の1万700人になった。

 芸術祭は13年に第2回の開催が決まっている。「その時までフォローしてほしいので、定期的につぶやきを続けたい」(増田主任)。同県初のツイッター本格活用となった芸術祭。行政として情報発信ツールに生かせるかどうか。試金石となった今回の一大イベントがノウハウ蓄積、仕組み構築に大きな一歩を記したことは間違いない。

 【佐賀県】

県庁のあちこちで“つぶやき”―。佐賀県は広報活動に積極的にツイッターを活用している。各課で自然発生的に運営され始め、現在の公式アカウント数は10に上る。

 観光課内の佐賀県フィルムコミッションは2010年2月からツイッターを先行的に始めた。撮影誘致などが主な業務のため「行政文書のような広報では情報を届けにくい」(江島宏観光課係長)ことがきっかけだった。求める撮影風景をつぶやけば、県民から情報がすぐに集まり、情報蓄積と制作会社に素早く対応できるなど、効果は大きい。情報収集と広報など情報発信の割合は半々で、ツイッターの双方向性をフル活用している。

 意見投稿サイト「県民の声」を11月から始めたのは政策監グループ。全国から県政への意見やアイデアを募集する。意見収集専用の利用は珍しく、気軽に投稿できる広聴ツールとしてアカウントを取得した。投稿は全部署に回覧し、アイデア活用や世間の関心動向の目安として利用する。

 各部署では利点として双方向性など「反応が見える」点をあげる声が多い。一方で県としてのガイドラインはなく、判断は各担当者に委ねられ“炎上”の恐れもある。だが行政文書にない「ゆるさ」やスピード感こそがツイッターの魅力。行政の新しい取り組みとして、試行錯誤を繰り返している。


【2011年1月4日 日刊工業新聞社】