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地域資源活用チャンネル

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ご当地グルメに新風/農商工連携が“隠し味”(4)

 【7.京都・スイーツ】

 京都市営地下鉄では2008年から、「駅ナカ」ビジネスに力を注いでいる。その一環として「駅ナカスイーツ」事業を展開中だ。現在、京都駅、四条駅など計4駅にショーケースを設けて、週・月替わりでスイーツを販売している。

 09年11月には、京都市営地下鉄駅でしか買えない「地下鉄オリジナルスイーツ」を発売。京都産品を活用して地域活性化につなげる考えだ。第1弾として09年11月に発売した「水尾の柚子ちーず・麿のお気に入り」は、水尾(京都市右京区)の柚子をチーズに練り込んだ蒸しカステラ。京都市域の菓子メーカーから候補スイーツを募集し、市内芸術系大学生を対象にデザインコンペを行った。

 発売初日のPR活動には門川大作京都市長らも駆け付けて、水尾地域の魅力をアピール。その甲斐あって一時品切れとなるなど、好調なスタートを切った。

 第2弾として7月に発売した「南山城村の抹茶ばなな・麿のお気に入り」は、中にバナナ味のクリームが入った抹茶風味の蒸しカステラ。交通局が新作スイーツの試食会を実施し、市民による人気投票で1位に選ばれたものを製品化した。材料には、過疎化に悩んでいる南山城村の活性化を目指し、龍谷大学の学生が企画・製作した抹茶を採用した。

 両製品とも京都菓子工業(京都市上京区)が、製造している。販売実績は水尾の柚子ちーずは約74万個、南山城村の抹茶ばななは約9万個と、好調。「駅の改札近くですぐ買え、観光客だけでなく市民にも親しんでいただいている」(京都市交通局企画総務部)と、手応えを感じている。

 【8.香川・イチゴ】

 スカイファーム(高松市、川西裕幸社長、087-881-5256)は2004年の設立。イチゴだけを手がける農家では生き残れないと考えた川西社長は、25の農家と異業種企業15社で組織する任意団体「香川げんきネットSEED」を09年に設立、自らが代表に就いた。

 香川県中小企業家同友会の理事も務める川西社長は同団体の理念について、「個々の経営の安定と農業で地域を明るく元気にすること」と強調する。このため外部との連携強化を重視しており、高松市と共同で食・花育事業に取り組んでいる。また高松市内などで地元の香川県内の大学生、高校生らとマルシェ(産直市)も開いている。

 オフシーズンの夏場は加工したイチゴを使ったソフトクリームやかき氷を販売する。シーズン本番には契約栽培するレストランやケーキ店には新鮮な「朝採りイチゴ」を提供する。スカイファームの現在の売上高は5000万円。川西社長が農業を始めた98年に比べて約5倍、スカイファームとして法人化した時の2倍の規模に引き上げた。

 同社は高松市内に2カ所、計5000平方メートルの生産拠点を持つが、当面は規模を拡大せずに香川県内で“勝負”する計画。「工場化することで品質維持が難しくなるリスクもある。丹精込め、まずお客さまの顔が見える香川で一番愛される農産品ブランドになりたい」(川西社長)。 香川げんきネットSEEDは将来、NPO法人化も視野に入れている。「まだまだ農家の販路や物流面は弱い」と話す川西社長。意気投合した農家同士で新しいビジネスモデルを打ち出す考えだ。

 【9.大分・ユズ】

 ユズの表皮を細かく刻み、唐辛子と塩を練り合わせた九州発の調味料といえば「ユズこしょう」。ユズの爽やかな香りにピリッとした辛みが魅力で、料理を引き立てると人気が高い。2010年5月、川津食品(大分県日田市、川津峰之社長、0973-53-2501)は、チリソースをヒントにソースタイプの新商品「YUZURICH(ユズリッチ)」を発売した。

 約3ミリメートル角に細かく刻み込んだユズの表皮が入ったユズこしょうに、砂糖と酢を加えて甘酸っぱく仕上げた。川津社長は「若い世代に気軽に使える商品として全国に広めたい」と意気込んでいる。120ミリリットル入りで価格は598円。

 特徴は、甘み・酸味・辛み・苦みのある同商品を料理に加えると「素材のうま味を引き出す五味がバランスよく整う」(川津社長)こと。適度な粘度が「肉料理やサラダなどの食材とよくからみ、相性も抜群」(同)と話す自信作だ。

 全国の百貨店や同社のホームページ上で発売して以来、月約2万本を販売。初年度で約1億円の売上高を見込んでいる。現在、関東圏を中心とした需要増に応えるため、生産量を2倍の同約4万本に引き上げる計画を進めている。

 生産体制は、大分県農業協同組合(大分市)などからユズを調達し、川津食品で皮むき加工、しょうゆメーカーのフンドーダイ(熊本市)に量産を委託する。販路拡大のチャンスをつかむため中小企業基盤整備機構の09年度「地域中小企業応援ファンド」を活用し、大分県産業創造機構(大分市)からの支援も得た。

 川津社長は「大分から全国、そして世界へ、ユズに関する良質商品を発信する企業に成長したい」と意欲を燃やしている。


【2011年1月1日 日刊工業新聞社】