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地域資源活用チャンネル

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ご当地グルメに新風/農商工連携が“隠し味”(2)

 【3.群馬・梅】

 群馬県は西部を中心に梅の生産が盛んで、和歌山県に次ぐ全国2位の生産量を誇る。これに着目したのが安中市の安中市商工会。梅を使った地域産品による地場商業支援に取り組んでいる。

 安中市内には関東有数の秋間梅林が立地する。そこで採れた梅を加工し、市内の菓子屋や飲食店22店舗が梅味のせんべい、梅ソースをのせたハンバーグ、梅風味のめん類などのメニューとして提供している。

 この取り組みに協力しているのは、「カリカリ梅」で知られる調味梅漬けなどを製造販売する村岡食品(前橋市)。梅をパウダーやペースト状などに加工して、商店に提供している。使用する梅は外傷などが入っている「B級」を使うため、「資源の有効活用にもつながる」(同商工会の可部宏和氏)のも特徴だ。

 訪問者に“梅の安中市”を印象づけるため、2010年度には梅を使った菓子・料理を提供する店舗を紹介した観光案内マップを作成。また「梅の郷 あんなか」と記した薄いピンク調ののぼり旗も作り、各店舗に配布した。

 地域資源として梅の活用を模索し始めてから2年以上経過していたこともあり、多くの店舗が好意的に協力。さらに商店以外にもゴルフ場経営者などがこの活動に関心を示し、一覧マップを施設内で配布している。

 現在は、“梅サプリ”こと梅パウダーを使った健康サプリメント「梅美和」の開発に力を注いでいる。梅はビタミンCやビタミンB群、クエン酸を豊富に含む。開発に当たり、高崎市の環境浄化研究所に成分分析や錠剤への加工で協力を得た。多くの消費者に受け入れられるように風味などを改良中で、早ければ11年にも商品化する計画。そうなれば、小規模事業者への経営支援を主体とする商工会が開発に携わった全国的にも珍しい商品となる。

 【4.長野・マス】

 長野県は国内有数のマス類生産量を誇り、県内には約140の養殖業者がある。1980年ころのピーク時には年間約4600トン、減少傾向にあるものの09年は2000トンを生産した。長野県水産試験場では94年から「長野県独自のマス」開発に着手。「おいしい、成長が早い、病気に強い」品種を作るため、ニジマスをイワナやヤマメなどと掛け合わせ実証試験を繰り返した。

 「候補の種が決まるまでに5―6年かかった」(降幡充長野県水産試験場主任研究員)。最終的にウイルス性の病気に強い欧州原産のブラウントラウトを選んだ。通常のニジマスの2倍の染色体を持つ4倍体のニジマスを作り、ブラウントラウトと交配。完成したのはニジマスの染色体を二組、ブラウントラウトの染色体を一組持った三倍体の交雑品種で、「信州サーモン」と名付けた。

 信州サーモンは成熟せず、卵を作らないため、成長の停滞や肉質が低下しない。事業規模でニジマスの四倍体を利用し、交配で三倍体を作る技術はコストと時間がかかる。養殖が盛んで技術の蓄積があった長野県だからこそ実用化できた。同試験場は04年に10万尾を初出荷。09、10年は現有施設で生産できる上限の30万尾を出荷した。現在では県内外の主にレストランや飲食店で年間200トンが消費されるまでになった。

 10年5月に44業者が集い、一層の品質向上と普及拡大を図るため、「信州サーモン振興協議会」を設立。「ブームで終わらせず、地域の特産品として名を残したい」(同)との機運が高まる中、官民でブランド向上に取り組む。


【2011年1月1日 日刊工業新聞社】