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ご当地グルメに新風/農商工連携が“隠し味”(1)

 おせちや雑煮が食卓を彩る正月。帰省や旅行を機に、それぞれの土地に根付いた「ご当地グルメ」を食べられるのも、この時期ならではの楽しみだ。

 最近では農商工連携の進展などを通じて“ひと味違う”新商品の開発が全国で活発化しており、売り上げ拡大や販路開拓につながるケースが増えている。新たな観光資源や地域おこしの目玉としても期待される各地の注目商品を紹介する。

 【1.茨城・地酒】

 茨城県は地酒蔵元53社と蔵元数は関東一。だが、地酒を地元の人が飲む割合は3割弱と低い。こうした状況を打開するために始まったのが、茨城県独自の酒造好適米の育成。県農業総合センターの生物工学研究所が品種を創り、同農業研究所が栽培し、米と酵母の組み合わせを研究した。県独自の酵母作りも県工業技術センター内に酒造技術研究施設「造酒司いばらき」設立を機に始まり、「発酵力が強く、香りの良い酵母」(開発者の吉浦貴紀県工業技術センター地場食品部門主任研究員)を開発した。

 開発した酒造好適米「ひたち錦」と特定名称酒用酵母「ひたち酵母」を使って出来上がったのが、純茨城の酒「ピュア茨城」。蓮見孝筑波大学人間総合科学研究科教授や茨城デザイン振興協議会(茨城県茨城町)も商品デザインにかかわった。

 産学官の力を結集した自信作とはいえ、日本酒の消費量が全国的に年々減少している状況に変わりはない。そこで蔵元36社が「同じものは米、酵母 違うものは水と技」をキャッチコピーに掲げて結集。茨城産地酒を認知拡大するため「プロジェクト・ピュア茨城」が2003年4月に本格的に立ち上がった。

 ピュア茨城の証として、各商品にはシールを添付。茨城県酒造組合によると、10年6月末までに約24万5000枚が各酒造会社に配布された。

 課題も見えてきた。特別純米酒に限定してのシールを付けていたことや、蔵元各社が横並びで製造するのは難しいためだ。「ひたち錦をどのブランドでも使えるようにし、その上で技術力で差別化したい」(山内孝明府中誉社長)との声も多い。「海外も有望な市場」(広瀬会長)と見ており、オール茨城の取り組みは次の段階に進もうとしている。

 【2.栃木・カクテル】

 プロのバーテンダーの味を家庭で満喫―。横倉本店(宇都宮市、横倉正一社長、028-656-7777)は地元の農産物を使った「宇都宮カクテル」を2009年に発売した。レシピや味の監修はプロのバーテンダーが担当。果実の特徴が際立つように甘口に仕立て、アルコール度数も10%以下に抑えて飲みやすくしたのが特徴で同社の人気商品に育った。

 女性をターゲットに「栃乙女ダイキリ」「杉並木ビッグアップル」「大谷梅ファジーネーブル」「芳潤梨ギムレット」の4種類をそろえ、1本150ミリリットル入り500円で販売中だ。

 当初、発売5年目で約1900万円の目標を掲げていた売り上げは、初年度で2800万円を達成。「約7万本も販売でき、うれしい誤算だった」と横倉社長は振り返る。

 開発に当たり、JAうつのみや(宇都宮市)から「とちおとめ」ブランドで有名なイチゴなど農産物の提供を受け、これをリキュールの製造ノウハウを持つ鳳鸞酒造(大田原市)が製造した。また、リンゴ味のカクテル用に荒牧リンゴ園(宇都宮市)が、県産のリンゴを素材としたリンゴジュースを提供した。

 ただ、こうした特産物を使った商品は全国共通の発想。そこで横倉社長は宇都宮市のバーテンダーらで構成する「宇都宮カクテル倶楽部」と連携。「毎年、コンテストで優勝するようなレベルの高いバーテンダー」(横倉社長)のレシピと監修を通じた本格カクテルが、消費者の心をとらえた。

 今後は中小企業基盤整備機構の支援を受け、販路拡大のための展示会など関連情報にも気を配る。また県産しょうがを使ったカクテル「二荒杜スカイジンジャー」も新発売するなどラインアップをそろえて、首都、東京を目指す。


【2011年1月1日 日刊工業新聞社】