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農商工連携の今(58)高電圧でナメコ増産−収量2倍の装置開発に挑戦

 ナメコを増産するので「なめぞうさん」―。関東防災工業(前橋市、宮崎精一社長、027-234-3351)は主力の消防設備や電気設備の施工業での蓄積を生かし、ナメコに高電圧をかけて電気刺激を与え、収量を増やす装置「なめぞうさん」の開発に取り組んでおり、2011年にも製品化する計画だ。

 きっかけは8年前、宮崎社長が参加した群馬中小企業家同友会の飲み会でのこと。ナメコ栽培業を営む経営者が「雷が落ちた場所にはキノコがよく生える」と言った。隣で聞いていた宮崎社長は「いっちょ、やってみるか」と応じた。ちょうどその時、群馬大学工学部(桐生市)が研究シーズを募集していた。「ダメもと」で応募したところ、見事採択された。

 ナメコ業者や群馬大学と共同開発が始まった。電源や菌床の自動搬送などの改良を重ね、収量の4―5割増を確認した。ただ、宮崎社長は「実用化に向け、収量の倍増を達成したい」と目標は高い。そのくらいのメリットを提供しないと、ユーザーの食指は動かないというのだ。現在、電圧を2万ボルトから4万ボルトに引き上げた「なめぞうさん2号」を開発中だ。

 しかし、二人三脚で歩んできたナメコ業者が09年に倒産してしまった。苦楽を共にしてきた仲間を失い、途方に暮れていたとき、電気刺激によるキノコの収量増加の研究で有名な岩手大学工学部の高木浩一准教授から連絡があった。新聞記事で関東防災工業の取り組みを知ったという。

 高木准教授らを中心とする「いわてエネルギー環境教育研究会」との交流が10年に始まった。この研究会では原木栽培を採用している。丸太に直接栽培する方式で風味に優れ、シイタケなどでは付加価値が増す。一方、ナメコの場合は屋内で専用の床で育てる菌床栽培を用いる。基本原理は同じで、双方のノウハウを共有できる。宮崎社長は、「いずれはナメコ以外のキノコ類にも取り組みたい。例えばマツタケに応用できれば」と夢が膨らむ。

 同時に事業化に向け、新たな連携先を群馬県近辺でも探している。業界を取り巻く環境の厳しさはもちろん承知しており、「装置の価格は100万円以内に抑える」(宮崎社長)方針だ。

 同社は大手の電気工事業者から独立した宮崎社長が76年に設立した。宮崎社長は受け取った図面を元に仕事をするだけでなく、時には白紙の上に製品を描きたくなるという。「需要があると思ったら、思い切って冒険したい」と新事業に果敢に挑む。


【2010年11月22日 日刊工業新聞社】