HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

産業がわかる/東大阪のネジ産業−国内・海外市場を深耕

 大阪府東大阪市はボルト、ナットなどネジ産業の一大集積地。2008年の製造品出荷額は478億円で全国の約5%を占める。起源は江戸時代末期の銅、真ちゅうの伸線産業までさかのぼる、「モノづくりのまち」を代表する地場産業だ。

 08年秋以降、急激に落ち込んだメーカー各社の売上高は現在、まだら模様ながらもピーク時の7―9割まで回復した。ただ、8月の東大阪商工会議所の調査では、ネジ産業で前年同月比の生産額が「増えた」とする企業の割合(39%)と「減った」企業(33%)の差が示す業況判断指数は6ポイント。6月調査の同33ポイントから大きく縮小した。「材料費は高止まりで、コスト競争も厳しい」(江浦善照江浦製作所社長)など、足元の状況は予断を許さない。

 そうした中、メーカー各社は高付加価値製品の開発などで売り上げ確保に取り組む。フセラシは電気自動車(EV)やハイブリッド車用の電池部品と、橋の補強工事用特殊ボルトなどで、国内市場の開拓を強化。竹中製作所は6月に、米国機械学会の原子力関係の規格認証を取得した。今後、海外の原発設備用のネジの生産を始める計画だ。ハードロック工業はゆるみ止めナットが海外の新幹線に採用され、受注を増やしている。

 今後、業界で課題となるのは、顧客の大手企業が海外で進める現地調達への対応だ。ネジなどのファスナー部品は製品やユーザーの安全にかかわるため「大手も海外製を安易に採用しない」(横山邦夫金剛鋲螺常務)。とはいえ現地メーカーの品質も徐々に向上しており、米国と中国、タイに工場を持つフセラシも「現地メーカーとのコスト競争は厳しい」(嶋田亘会長)と気を引き締める。昨今の円高は、この状況に拍車をかける。

 これに対し、三和鋲螺製作所は「自動車用ネジなどで手間のかかる仕事をあえて引き受け、受注回復を図ってきた」(樫本宏志社長)。国内生産で勝ち残る道を選び、コスト改善など地に足を着けた努力を続けるメーカーもまた多い。

【POINT】
1.ピーク比7−9割とまだら模様
2.高付加価値製品で売り上げ確保狙う
3.大手の現地調達化への対応が課題


【2010年11月16日 日刊工業新聞社】