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産業がわかる/神奈川県小田原市の水産加工業−ブランド化で需要拡大

 神奈川県小田原市では相模湾で捕れた魚をおいしい状態で箱根の山々を越えて運ぶため、江戸時代後期から水産加工業が盛んに行われてきた。特にかまぼこと干物が名物で、市内にはそれぞれの老舗が軒を連ねる。だが、近年は消費者の魚離れなどにより売り上げが低迷。1990年に6万トン近くあった神奈川県の水産加工品の生産量は、09年には3万5000トンまで減少した。

 そんな中、市では地場産業の水産加工で観光を振興する機運が高まっている。06年に小田原蒲鉾協同組合(鈴木博晶理事長=鈴廣蒲鉾社長)が「小田原かまぼこ(蒲鉾)」を、08年に小田原ひもの協同組合(山田義征理事長=山安社長)が「小田原ひもの」の地域団体商標を取得した。「これまではあまり宣伝していなかった」(伊勢兼の杉山忠司専務)水産加工品を、小田原ブランドとして知名度を高め観光客を呼び込む作戦だ。

 蒲鉾協組の若手グループは地元のアジを使った「ODAWARA AJIなバーガー」やかまぼこを使ったホットドッグなど、新しい活用法を考案。近年のB級グルメブームも手伝って人気は上々だ。高齢者が中心の顧客を若年層まで広げようと狙う。

 早瀬ひもの店(小田原市浜町)は干物づくり体験教室を開いているほか、あらかじめ焼いた干物を真空保存した「焼いてありますシリーズ」を販売。電子レンジで温めるだけという手軽さで需要拡大を狙う。

 これらの取り組みや蒲鉾協組が主催する「小田原かまぼこ桜まつり」などのイベントが功を奏し、市の観光入り込み客数は年々増加。05年の約471万人から09年には約519万人まで上昇した。さらに折からの工場見学ブームで加工場に足を向ける客も多い。

 全社に共通するのは技術や製法など「伝統産業を守る」という強い思い。「きっかけはB級グルメでも、ゆくゆくはA級品として受け入れられれば」(脇谷の脇谷和孝社長)。伝統を守りながらどう市場を活性化するか、模索が続く。

【POINT】
1消費者離れによる売り上げ低迷続く
2伝統を守りつつ新規顧客を狙った商品開発
3観光客の購買増が課題


【2010年10月19日 日刊工業新聞社】