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首都圏リポート/栃木県で"かんぴょう"プロジェクト始動

 国内産の約90%を占める栃木県の特産物、干瓢(かんぴょう)。2011年には県内での生産開始から300年を迎える伝統的な農産物だ。ただ、担い手となる農家の減少や安い中国産に押され、生産量の減少が続いている。こうした状況に歯止めをかけようと、栃木県の経済界が動きだしている。大学や行政と連携し、干瓢の消費増大に向けたプロジェクトも発足した。(栃木・杉浦武士)

 9月末に正式に発足したのが「かんぴょうプロジェクト300」。江戸時代前期の末の1712年(正徳2)に滋賀県から干瓢が伝来して11年に300年を迎えることに合わせ、栃木県経済同友会が県や地元の料理研究家、大学などと連携して立ち上げた。干瓢の消費拡大を目的に、3年計画で活動し、10年は原料となる夕顔の実を使った食材の開発に取り組む。

 同友会は農商工連携を通じた地域経済活性化をテーマに、4年間にわたり研究を続けてきた。プロジェクト発足も、特産物である干瓢の消費量減少への強い危機感が背景にある。

 実際、県農政部によると78年に5080トンあった国産の生産量は06年には約300トンまで下落した。国産の代わりに台頭したのが低価格の中国産。輸入が始まった82年には約70トンにすぎなかったが、06年は約2800トンと、国内の消費量の約90%を占めるまで増大した。

 苦戦が続く国産干瓢。その大半を占める栃木県産の消費量を増やすには、「価格競争から脱し、高付加価値商品の開発で新たな需要を掘り起こすことが必要」と関係者は話す。実際、小山商工会議所では産学官で粉末化した実を小麦粉に練り混ぜた「かんぴょううどん」を販売するなど、県内でも新商品開発の動きが出ている。同プロジェクトでも料理研究家らが中心になり、「かんぴょうカレー」「かんぴょうゼリー」など多くの試作メニューを開発、試食会を開くなど意欲的だ。

 ただ、消費拡大のためには生産現場の改善が急務だ。干瓢の原料である夕顔の実は7―8月の約1カ月間が収穫期。この間、農家は深夜2時に起きて農作業を開始し、昼の炎天下まで作業を続ける。実から皮をむく作業は特に重労働になるため、農家の高齢化とともに、栽培農家の減少につながっている。

 新商品開発でも皮をむく重労働は避けられないため、会合では「生産現場の改善がないと、次のステップにすら行けない。早急な対策が必要だ」という厳しい意見も出ており、改善に向けて「機械でスムーズにできないか」という機械化・省力化も議論された。

 同プロジェクトは11年には具体的な新商品を開発し、最終年度の12年に消費者を巻き込んだ各種イベントを大々的に開く方針だ。

 新商品の開発、生産面の改善などの課題を抱えつつも、干瓢の消費拡大という大きな目標に向けた挑戦が続く。


【2010年10月4日 日刊工業新聞社】