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農商工連携の今(54)完熟イチジクでコンポート

 日本一のイチジク産地である愛知県で、この夏からユニークな取り組みが始まった。漬物を製造販売する若菜(愛知県蟹江町、山田謹一社長、0567-95-3111)が、愛知県産のイチジクを使用したコンポート「甘露無花果」の販売に乗り出した。

 同社の信念は「漬物は家庭の食卓の味。だから旬の野菜を使い添加物は極力避ける」(山田社長)ことだ。高品質な漬物は路面店のほか、百貨店や高級スーパーでも販売している。

 しかし、漬物市場は縮小傾向にあり、購買層の高齢化で先細りも懸念される。若い世代にも漬物を手軽に食べてほしいという思いから、同社は10年前に果物を使った漬物とコンポートの製造を始めた。これらの販売は好調で、同社は果物を使った商品の拡充を模索していた。

 その過程で、かつては蟹江町の名産であったイチジクに着目。イチジクを使った製品を販売すれば、蟹江町の町おこしにもつながると考えた。以前、同社と取引があり、イチジクの消費を盛り上げたいと考えていたイチジク農家の伊藤欣杳氏と狙いが一致し、連携体を構成した。

 傷みやすく雨に弱いイチジクの栽培は想像以上の繊細さが必要だ。伊藤氏は収穫前に完熟状態にし、極限まで甘さを引き出したイチジクのみを若菜に提供している。完熟イチジクは輸送時につぶれやすく、スーパーへの出荷が難しいが「味の良さは群を抜いている」(伊藤欣杳氏)という。

 収穫したイチジクは即日若菜に運び込まれ、皮付きのまま小型の鍋で知多産の日本酒と水で煮詰める。通常コンポートにはワインが使用されるが、日本酒を使用することでイチジクの香りと色が際立つという。

 通常のコンポートの糖度は50度近いが、同社のコンポートの糖度は37度。「イチジクの甘さを生かすには、この糖度が最適」(山田社長)と、試作を重ねてたどり着いた数字だ。こうしてできたコンポートは柔らかな食感と自然な甘みが自慢だ。主に土産物やギフトとして、今年は1万個の販売を目指す。

 農商工連携を「先輩企業との交流などの機会があり、会社にとってプラスの経験」(同)と振り返る同社。今後目指すのは、規格外のイチジクの活用だ。「新規分野である、ジャムなどへの応用を検討していきたい」(同)と展望を語る。同社にとって農商工連携は、新たな展開を踏み出すきっかけにもなりそうだ。


【2010年10月4日 日刊工業新聞社】