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挑戦続く都市型農業−東京・多摩地域の取り組み

 農業従事者の高齢化、担い手不足に悩む都市型農業が農商工連携事業のインキュベーター(ふ化器)となっている。農家と消費者、商業、製造業が近接する地域性を生かせば農産物の"都産都消"が可能になる。東京・多摩地域での取り組みを追った。(西東京・小寺貴之)

 町田商工会議所と多摩高度化事業協同組合(まちだテクノパーク、東京都町田市)は、市内の温室を借り受け、メロンの水耕栽培キットを開発した。メロンの苗を9株作付けし、約120玉のマスクメロンが結実した。最高で糖度15%の実もあり、市場相場の10―14%よりも高く、商品となるメロンを収穫できた。今後「まちだシルクメロン」として、地域ブランドに育てていく方針だ。

 栽培にあたり監視カメラやデータの収集はインターネットを通じて遠隔管理した。気候に応じて自動で栽培できるよう液肥供給量や水温の最適プログラムを開発する。またメロンと栽培キットの販売だけでなく、地域の商業者と連携してメロン用自動販売機などの流通機器を開発、事業のすそ野を広げていく。

 農業法人三鷹ファーム(東京都三鷹市)は農業ビジネスを教える「菜園インストラクター養成講座」を事業化した。2010年度は5人でスタート。季節の野菜を約30種類栽培し、土作りから収穫まで指導できる人材に育てる。体験農園の指導員や市内農家の農地保全、代理生産を担えるようにする。

 将来は農地にカメラやセンサーを導入する。気温や日照量などと農家のノウハウをデータベース化し、未経験者でも簡単に農業ビジネスを始められる環境を構築する。

 ビジネスについてもブランド戦略や観光農園、地場野菜を使う飲食店の運営を教える。産業支援機関の創業支援メニューと組み合わせ、経営面もサポートしていく。

 都市型農業は固定資産税が減額される生産緑地での営農が中心で、営農の実態がないと優遇が解かれ、高額な納税が求められる。現状では農業者の高齢化が進んでおり、農地を手放すことが懸念される。

 農業の担い手不足を防ぐため、現在、活用が進んでいるのが製造業や市民の力。製造業の技術で農作業を自動化しているほか、レジャーや教育コンテンツとして農業を提案し、市民を巻き込む動きが活発になっている。

 消費者や商業者が多いため、農産物の販売先を見つけやすいのも都市型農業の利点だ。農家や製造業者にとっては、低リスクでプロジェクトに挑戦できる地域になっている。


【2010年9月24日 日刊工業新聞社】