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産業がわかる/堺市の昆布加工業−倉庫新設、在庫を安定化

 堺市は日本有数の、昆布加工業集積地だ。これは江戸時代、北海道産の昆布を積んだ商船が日本海回りで京都や大阪に向かう際に、貿易港として堺を経由したことに由来する。堺は刃物産業も盛んだったため、昆布の表面を刃物で削り取る「おぼろ昆布」や「とろろ昆布」が発達した。大正から昭和にかけて一大産地が形成され、戦前には150者近くの業者がいたが、現在は10数社まで減少。産地全体の出荷量が縮減する中、各社は販路拡大に力を入れている。

 産地大手のマツモト(堺市西区)は、機械加工でとろろ昆布を製造する。とろろ昆布は酢で軟らかくしブロック状に固めた昆布を、糸状にスライスして製造する。堺昆布加工業協同組合の理事長も務める松本功副社長は「国産材料を使い手間をかけて製造するので、どうしても価格が高くなりがち」と課題を分析する。

 材料である昆布価格が、豊作、不作により変動するのも悩みだ。変動幅を抑えるため、同社は昆布を長期保存できる低温倉庫を建設し、豊作の年にまとめ買いすることでコストの安定化に努めている。

 売れ行きを伸ばすには製品の良さをPRするのが一番と考え、本社前にアンテナショップも設置した。売り上げはまだ少ないが、松本副社長は「口コミで良さを広めたい」と力を込める。

 職人による手加工でおぼろ昆布を製造するのは郷田商店(堺市堺区)。おぼろ昆布は特殊な包丁を使い、昆布の表面を帯状に削りとって製造する。おぼろを削った昆布はバッテラすしの材料になる白板昆布となり、こちらは高級すし店などに販売されている。

 産地各社が口をそろえるのが、深刻な後継者不足だ。特におぼろ昆布の製造は何時間も同じ体勢で作業し続ける必要があり、身体への負担が大きい。そのため若い職人が集まりにくく、職人の高齢化も進んでいる。

 とはいえ昆布は和食を支える、重要な食材。販路拡大、人材育成など課題は多いが、産地各社の努力に期待したい。

【POINT】
1刃物産業が育てた昆布加工業
2アンテナショップで産地PR
3深刻な後継者不足


【2010年9月14日 日刊工業新聞社】