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農商工連携の今(47)イグサを健康食品に

 畳表の原料であるイグサ。熊本県はイグサの国内生産量の約9割を占めており、産地は同県八代市と周辺地域に集中している。近年のイグサ農家は中国産イグサに押されるとともに、住宅の洋風化で畳の使用が減るという二重の苦境にある。

 健康食品メーカーの王樹製薬(熊本市、島田修社長、096-319-1515)は2006年、水に溶かして飲む「イグサ青汁」を製品化した。「イグサ農家のために何かできないか」と島田社長が発案し、イグサの成分の中で特に食物繊維に注目した。現在は熊本県内でイグサを使ったアイスクリームやパン、そばなどが商品化されているが、当時はイグサを食品にする例は珍しかったという。

 食用イグサの栽培法は畳表用とは異なるため農家の協力が不可欠だ。農薬を使わず、水は河川の水ではなく井戸水を使う。収穫は畳表用の約半分の50センチメートルほどに成長した時点で行う。軟らかいうちに収穫するためだ。収穫後は手作業で一本ずつ選別する。

 同社がイグサを健康食品にしたのは成分に注目しただけでなく、粉体化などの製造技術や販売ルートなどを生かせることが背景にあった。販売は同社グループで通信販売を行っているエス・エフ・シー(熊本市)が担当する。また、島田社長は「畳のイメージアップに役立ってほしい」との考えから畳販売店でも販売してもらっている。製品の機能性については北九州市立大学と共同研究も行った。

 現在イグサの粉末と乳酸菌を組み合わせた新製品を開発中で、8月に発売する計画。乳酸菌の取り扱い技術も王樹製薬は従来から持っている。さらに崇城大学と共同でイグサを使ったペット用健康食品の開発も行っており、来年までには発売できる見込みだ。

 食用イグサは年間栽培量を年の初めに決めてしまうため途中の増産に対応できない。王樹製薬は売れ行きを慎重に予想しながら新製品を市場投入し、農家に増産依頼をしていく方針だ。

 今後は海外市場も視野に入れている。日本でイグサは畳表のイメージが強い。そのため青汁の発売当初は足で踏むものを食べるのかという人もいたほどで食品として抵抗感を持つ人もいる。その点で先入観がない海外での普及に期待する。さらに「健康食品を通じて畳という日本文化のイメージアップにつなげたい」という島田社長の思いも海外進出の背景にある。


【2010年7月19日 日刊工業新聞社】