HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

産業がわかる/栃木・足利の繊維産業−絹織物で中小連携

 古くは鎌倉時代に始まり、約800年という歴史を持つ栃木県足利市の繊維産業。中でも大正時代に誕生した絹織物「足利銘仙」はモダンなデザインが特徴で、昭和初期に社会進出を目指す女性の間で大きなブームを巻き起こした。

 足利商工会議所はこの銘仙を活用し、繊維産業の活性化につなげるために地場の中小企業と連携した地域ブランドプロジェクト「足利幕府プロジェクト」を展開。足利時代の武士のライフスタイルの一つとされる「婆娑羅(ばさら)」をテーマに、茶道と地場産業の繊維業、アルミニウム加工業を融合した茶器セットを開発した。

 開発した茶箱、いす、茶器の3種類はアルマイト加工を施した後、4種類の足利銘仙のデザインを茶箱やいすの座面に採用。国内販売だけでなく、ロシアやフランスなど海外販売を視野に入れ、「繊維の町、足利」のアピールに動きだしている。

 もともと、足利市は隣り合う群馬県桐生市などとともに、両毛地区と総称され、繊維産業の一大集積地として知られた。ただ足利市の統計によると、1969年に約3000社あった繊維業者も07年統計では約690社にまで減少。業態転換とともに製造品出荷額に占める割合も徐々に減少し、07年の繊維業の製造品出荷額は約204億円と市全体の製造品出荷額の約5%にとどまる。

 こうした状況を打破するために、同会議所では「足利幕府プロジェクト」に取り組むほか、足利銘仙の柄をデジタル画像として記録するデータベース(DB)事業も展開。すでに約500銘柄をDBに記録しており、「絵はがきのデザインとして活用していきたい」(足利商工会議所)としている。

 さらに市内約200社にアンケートを実施し、各社の固有技術を紹介するポータルサイトも開設した。今後は"繊維巡り"のような観光用途への展開も計画しており、「足利銘仙の活用法はたくさんある」(同)。繊維の町、足利で新事業創出の夢が紡がれようとしている。

 【POINT】
 1 アルミ加工業との連携で地域ブランド化
 2 海外へのアピール
 3 観光など他分野への展開


【2010年7月13日 日刊工業新聞社】