HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

農商工連携の今(46)カキ殻を肥料に加工

 宮城県産のカキの殻を有効活用―。肥料製造のグリーンマン(宮城県大崎市、三塚潔社長、0229‐54‐1366)は、カキ殻を肥料に加工して販売する事業に着手した。カキ殻に含まれる栄養分が保持できるよう、低温乾燥する装置を独自に開発。県内のカキ養殖業者と連携し、これまで廃棄されていたカキ殻を回収する仕組みを構築した。廃棄物を肥料にして農作物の育成に役立てるという好循環を生み出そうとしている。

 カキ殻にはカルシウムなどのミネラルが含まれており、土にまくことで植物の成長を促す効果がある。カキ殻を肥料に加工するには水分の除去が必要。既存のカキ殻肥料は300度C以上の高温で焼成していた。しかし三塚社長によると、焼成することで栄養分が失われる問題があるという。

 そこで同社は、90―100度Cの低温でカキ殻を乾燥させる装置の開発を2005年から検討。今年3月には約1億円を投じ工場と製造装置を完成し、カキ殻肥料の新商品を発売した。

 装置の開発を担当した兼松孝至生産統括部長は「いかに天日干しに近い状態を人工的につくり出せるかが課題だった」と振り返る。殻の粉砕具合とドライヤーの熱の温度などの条件が最適になるよう試行錯誤を重ねた。機械メーカーに特注した部品や、改造した中古機械を組み合わせることで、独自の装置を開発することに成功した。

 原料のカキ殻は地元の漁業者から調達する。宮城県は広島県に次ぐカキの生産地。ただカキ殻の廃棄方法は整備されておらず、養殖業者らは苦慮していた。そこで同社は宮城県漁業協同組合鳴瀬支所(宮城県東松島市)と連携、松島湾でカキの養殖を営む事業者からカキ殻を買い取る契約を結んだ。

 製品のパッケージには生産履歴を表示し、製品の安全性を訴える工夫も加えた。すでにトマト、キュウリ、イチゴなどの農家に販売実績があるほか、今後は農協などにアピールして拡販する計画。初年度約1000トンのカキ殻肥料を生産し、売り上げ目標は8000万円、5年後には2億円以上を目指す。

自社製品の有効性を数値化するのが今後の課題だ。現在は宮城県農業・園芸総合研究所(宮城県名取市)で、小松菜を用いて既存のカキ殻肥料との比較試験を進めている。三塚社長は「宮城のカキ殻で育てた野菜はおいしいというストーリーで、ブランド化したい」と話している。


【2010年7月12日 日刊工業新聞社】