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農商工連携の今(43)中部空港の味、知多牛シチュー

 目指すのは日本一のブランド牛―。愛知県の南西部に位置する知多半島は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ古くから酪農が盛んに行われている。ここで生まれ育った「知多牛」は、柔らかな肉質と、オレイン酸を豊富に含んだうまみのある味が特徴だ。

 2004年、中部国際空港の開業を1年後に控え、知多半島で和洋食レストランを展開する山田家(愛知県半田市、山田巌社長、0569-28-2126)の山田社長は、空港内に出店するレストランの目玉になる食材を探していた。

 その最中に愛知県酪農農業協同組合が飼育する知多牛に出会い「おいしさに衝撃を受けた」(山田社長)。そこで、すぐさま知多牛を使ったシチューを、レストランの主力メニューにすることを決めた。

 同時に、山田社長は「多くの人が訪れる空港という立地を生かし、知多牛のおいしさを全国に向けて発信したい」という思いを持つ。そして、ビーフシチューを土産にできるよう、レトルト食品の開発に着手した。その時に同社が最も重視したのは"本格的"と感じる味づくりだ。

 だが、開発は難航。レトルト食品は製造の過程で、高温で加熱殺菌するため風味が飛んでしまう。「味を損なうことなく殺菌しなければならず、納得のいく味にならなかった」(山田社長)と振り返る。試行錯誤の末に、デミグラスソースの風味と塊の肉のうまみを生かした満足のいく商品が完成した。早速、07年11月から空港のレストランで土産として売り始めた。それが「知多牛のビーフシチュー」だ。

 この商品は1個が2人前にあたる450グラム入りで、2500円と高額ながら本格的な味が人気で販売は好調に推移。現在はインターネットと一部百貨店にも販路を拡大し、贈答品などとして売り上げを伸ばしている。

 おいしさの秘密は素材の良さ。山田家は愛知県酪農農業協同組合と連携し、素材の知多牛を、種付けから肉牛になるまで一つの農家で一貫生産している。その農家で牛の飼育方法を共同研究することにより良質の肉の生産と入手を可能にした。

 最近では知多牛を扱う飲食店も増え、知多半島でも知多牛のブランドが浸透しつつある。「知多牛を地域の人が誇れるブランドとして育て上げるのが夢」と語る山田社長。今後もビーフシチューの販売を柱に、知多牛をアピールし、全国での知名度向上を図っていく考えだ。


【2010年6月21日 日刊工業新聞社】