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農商工連携の今(40)信用第一のレンコン法人

 四国最大の河川・吉野川がある強みもあって、野菜栽培に適した徳島県は全国でも有数の農業県だ。「鳴門金時」ブランドのサツマイモ、スダチ、シイタケ…。多くがトップクラスの出荷量を誇り、関西の市場では徳島産品が大きなシェアを占める。

 マルハ物産(徳島県松茂町、林香与子社長、088-699-2345)は、その中でもレンコンに特化し1971年に設立した。徳島と並ぶレンコン産地である茨城県にも原料処理工場を構えるほか、94年には年間を通しての原料や加工品の大量調達を目的に、中国に合弁会社を設立するなど、海外からの原料調達体制も整備している。

 08年、「農商工連携88選」に選定された同社は増えつつあった耕作放棄地の解消と徳島県産レンコンの振興へ向け03年に農業法人のマルハファームを立ち上げた。市場に出荷されない規格外品の有効活用のため、周辺市町村の農家との連携を深める。生産者との間で年間の仕入れ価格や購入数量を決めた売買契約を締結、地域農業の経営基盤強化の推進や雇用創出面が評価された。グループ内でスキームを一元化しているため、選定企業内でも存在感が光る。

 折しも、07―08年ころは産地偽装問題が全国的に頻発し、大きく世間を揺るがせた。徳島県でもワカメやウナギなどで問題が表面化した。林保志専務は「まじめに取り組んでいる姿勢を信用してもらい、言っているだけではないことを証明すると、加工業の立場としても商売がしやすくなる」と88選に応募した経緯を明かす。

 同社のレンコンは、ちらしずしに使う酢レンコンや煮物用の水煮レンコンを一次加工品として大手食品メーカーなどに納入する。それらを仕入れる業者の視線は厳しいものがある。調理例などをまとめ、レンコンの新しい食べ方も提案するが「信用がなければ提案してもダメ。加工現場も常に定点観測で見てもらっている」と林専務。徹底した管理体制が信用第一につながっている。

 「おかずの主役ではない」と林専務は控えめだが、レンコンは収穫期間が長く価格変動が少ない利点がある。食品業者もメニューが組みやすい。コロッケなどの引き立て役として食卓に彩りを添える。今後も「食品加工業に求められるのは安定した品質、量、価格で供給すること」と、レンコンの特性をそのまま受け継ぐ企業指針に、時代に適合したスピード感を加えて貫いていく。


【2010年5月24日 日刊工業新聞社】