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農商工連携の今(39)健康に優しい「無塩梅干し」

 塩分ゼロで、健康に優しい梅干しを作りたい―。フードエディターズ(京都市伏見区、新村みち子社長、075‐643‐8345)が、2011年4月の商品化を目指すのが、塩を用いないで従来の梅干しと同様の風味を実現した「無塩梅干し」だ。

 梅干しを作る際、通常は梅の重さの約18%程度の塩を加える。塩の量を減らすとカビの発生原因となるため、減塩は難しいとされているが、生活習慣病の予防などで消費者の減塩志向の高まりを受け、独自の製法で減塩梅干しを製造するメーカーも多数出現している。

 もともと料理研究家として活動していた新村社長は梅に関して広く調理実験を行っていた際に、塩を加えずに梅干しを作る製法を開発した。当初は各家庭で利用するレシピを紹介する程度で、事業化は考えていなかった。しかし同製法を07年に特許出願したところ、外部から製品化の話が挙がり、試作品も寄せられた。しかしイメージに合う仕上がりではなく、自らの手で製造して世に送り出すことにしたのが、08年に起業したきっかけだ。

 起業後、事業展開について京都産業21(京都市下京区)に相談したところ、農商工連携への申請を勧められた。新村社長は「申請の段階から支援機関に丁寧にサポートしてもらえた。申請書類を作成する課程で、事業計画がかなり磨かれたと思う。申請を通じて得たメリットは大きい」と、振り返る。

 材料の梅は、連携企業のエコファームみかた(福井県若狭町)から調達する。同ファームが生産する梅の品種「紅映梅」は、果肉がしっかりしており酸度が低くマイルドな味に仕上がるため、作りたい梅干しのイメージに合っており選んだ。

 6月をめどに奈良工場(奈良市)として2階建て延べ床面積約95平方メートルの建屋を賃借し稼働、製品化に向けて試作する。梅干しメーカーの花伝院(京都府綾部市)に梅干しの天日干し工程を委託、味付けのノウハウで協力を得る。

 将来は梅干しだけでなく梅しょうゆといった調味料や、饅頭(まんじゅう)などの菓子も開発したいという。その際に調味料メーカーのマナ(大阪府高槻市)や、和菓子メーカーの紅屋重正(新潟県長岡市)などのサポートを得たいとしている。

 「塩分摂取が制限される患者さんに、病院食として食べてもらえたら」と、新村社長は同製品を通じた新しい食の提案を目指す。多様な企業と連携して、無塩梅干しの魅力を広く活用できる事業展開を行う。


【2010年5月17日 日刊工業新聞社】