HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

農商工連携の今(36)盆栽風の鉢とランを合体

 兼弥産業(愛知県南知多町、青山松夫社長、0569-65-1256)は園芸用プラスチック鉢を主力に、花の苗や培養土も製造する園芸品メーカー。花卉(かき)専業農家の加藤洋らん苑(愛知県豊田市)と連携し、盆栽風の鉢植えと耐寒性などに優れる新品種のランを組み合わせた花製品の海外販売を計画している。2012年をめどにオランダなど欧州向けに出荷を始め、15年には年間約5000万円の売上高を目指している。

 連携のきっかけは09年1月にドイツで開かれた花の展示会で、今後の花製品について話し合ったのが始まり。「国内の花卉需要は年々減少している」(青山社長)ことが背景にあり、海外販売に活路を求めることで考えが一致した。

 加藤洋らん苑は以前から屋内外で花を育てられるようにと、ラン科の観賞用植物シンビジウムの品種改良に取り組んでいた。その結果、0度Cの低温に耐えられ、屋外でも育成できる丈夫なシンビジウムの栽培に成功した。日陰に置いても花の落ちが少なく、好評という。だが、「農業生産者単体だと販売が難しい」(加藤宏樹加藤洋らん苑社長)ため、販路を探していた。

 一方、兼弥産業は約10年前に鉢の底面に切り込みを入れた「スリット鉢」を製品化した開発重視のメーカー。この鉢は排水性を高めることで植物の根が正常に育ち、花の成長を助ける。同社のヒット商品だが、国内需要が低迷する中で海外販売の強化を望んでいた。

 そこで両社は自社の強みを生かした連携体を結成。加藤洋らん苑が品種の改良と花の育成を担当し、兼弥産業が鉢の開発製造と苗の育成を行うことにした。販売については海外で鉢の販売実績がある兼弥産業が主体となり取り組むことで合意。

 ランと鉢はセットで販売し、"和風"を売りにする考えだ。花が咲いた状態のシンビジウムを盆栽風の鉢に入れ、日本のワビ、サビを表現した「BONSAIシンビジウム」として販売する。盆栽風の鉢やスリット鉢に苗を入れた低価格商品も投入する計画。

 海外では盆栽に興味がある園芸愛好家も多いといい、ニーズはあると見ている。現在、加藤洋らん苑が輸出用の花を育成する一方、兼弥産業が鉢の製造と苗の育成を推進中。2年後に花の出荷を始め、世界最大規模の花卉市場があるオランダで勝負する考えだ。その後は「米国や中国などでも事業展開したい」(青山社長)と意気込んでおり、成果が期待される。


【2010年4月19日 日刊工業新聞社】