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農商工連携の今(34)柿で半冷凍飲料開発

 和歌山県は全国屈指の果物産地。中でも北部の紀ノ川流域を中心に収穫される柿は、梅やミカンとともに県産果実の代表格として日本一の出荷量を誇る。医薬・化粧品原料や食品・飼料添加物を製造、販売する築野ライスファインケミカルズ(和歌山県かつらぎ町、築野富美社長、0736-22-0061)は、地元の柿を有効活用した新たな地場産品の開発に乗り出した。

 仕入れ先となる紀北川上農協(同県橋本市)管内で生産される柿は年間約2万2000トン。そのうち、傷やサイズのふぞろいなどから青果として出荷できず廃棄していた平核無柿(ひらたねなしがき)を原料に利用する。これを同社の食品加工・成分抽出技術で商品化し、販売する取り組み。2008年度の「農商工連携事業計画」に認定され、研究をスタートした。

 柿をベースにした商品と言えば干し柿や羊羹(ようかん)など固形物が代表的。一般的に、香りや味に特徴がないことから加工材料には適さない材料とされる。開発を指揮する森山茂顧問は「柿のイメージを商品に生かすには色や食感を重視する必要があった」と、色と酸味を強調するため和歌山産ミカンを混合した半冷凍(シャーベット状)飲料開発にテーマを置いた。

 商品化において「保存するための殺菌に苦労した」(森山顧問)という。柿は加熱すると褐変して味が落ちる“渋戻り”を起こす。この対策に約1年半試行錯誤し、熱処理をしても約3カ月間渋戻りを起こさず品質を維持できる手法を確立した。10年2月には「柿みかんミックス」の商品化に成功。同農協直営の産直販売店での試験販売を始める予定だ。

 今後は「充てん容器を現状のアルミコーティングパックから、樹脂カップのような内容物が見える物へ工夫する」(同)。さらに収穫が秋季に限られるため「1年間賞味できる保存手法の開発に取り組む」(同)考え。

 近年、果物の消費は若者を中心に伸び悩む傾向にある。とくに果樹農業のウエートが高い和歌山にとって、消費者ニーズを喚起する高品質果実のブランド化や戦略的加工食品の開発は重要課題。「特徴的な名産品を創出することで地元への恩返しになれば」(築野社長)の思いで事業化へ踏み切った。

 また商品化により「柿本来のおいしさと、ビタミンCやβカロテンなど栄養分を豊富に含む健康イメージを浸透させたい」(同)と語る。


【2010年3月29日 日刊工業新聞社】