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産業がわかる/宮城県水産加工業−高級ブランド育成に活路

 宮城県内には気仙沼や石巻、塩釜といった大きな漁港があることから、古くから水産加工業が栄えてきた。中でも揚げかまぼこや笹(ささ)かまぼこなど、かまぼこ類の生産量は2008年で約6万3000トン(農林水産省水産加工統計)、全国1位の約12%のシェアを持っており、県にとって重要な地場産業となっている。中小規模の加工メーカーが漁港周辺に数多く立地しているのが特徴で、製品は全国に出荷している。

 とはいえ、かまぼこの生産量は70年代をピークに右肩下がりの状況。原料のスケトウダラが、70年代に200海里問題で規制され始めたことで漁獲量が減少。また、欧米各国で魚の消費量が増え、原料の確保が難しくなったためだ。

 県の水産加工業全体の生産額は07年で約2800億円。ピーク時から約3分の2に減少し、事業者数も激減。ピーク時の約半分の440事業者にまで落ち込んでいる。約480億円の生産額を持つ県内かまぼこメーカーも同じ状況で、近年は小売店からの低価格要求に圧迫されている。

 そんな中、県内のかまぼこメーカーは、高付加価値型の新製品開発などに活路を見いだす動きが目立つ。水野水産(宮城県塩釜市)は、酸価度1.5以下の新鮮な植物油と良質な魚肉にこだわった揚げかまぼこを生産。下請けから脱却して、「水野のかまぼこ」を高級ブランドに育成し、売上高を10年で5倍以上に引き上げた。また阿部善商店(同)は揚げかまぼこを使ったハンバーガーを開発。09年末に仙台市の繁華街に専門店を出店し、話題になっている。

 県の水産技術総合センター(宮城県石巻市)も、試作用の装置を無料で開放するなどして、新製品開発を支援。アジアなどへの輸出を目指す企業も多く、県では上海や香港、台湾などで食料品見本市を開き、輸出を後押ししている。ただ、かまぼこ類の輸出には、添加物の認可手続きが面倒なことや保存方法の問題があり、ハードルは高い状況だ。


【2010年3月16日 日刊工業新聞社】