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農商工連携の今(32)にがり農法で大豆栽培−たんぱく質含有量が増加

 三重県尾鷲市沖の海洋深層水から採取した「にがり」をベースにしたミネラル溶液をつくり、大豆畑に散布する「にがり農法」がある。その農法を考案したのが豆腐機械メーカーのミナミ産業(三重県四日市市、南川勤社長、059-331-2158)。地元の農家と契約し、同農法で無農薬無化学肥料の大豆栽培に取り組んでいる。

 これまで国産大豆は品質にバラつきがあり、大豆に含まれるたんぱく質含有量も異なっていた。そうした問題から「豆腐がうまく固まらないといった加工業者からの相談が多く寄せられていた」(南川社長)という。

 そこで同社は、大豆の栄養に不可欠なマグネシウムなどミネラル分を多く含むにがりを与えれば効果があるのでは、と考えた。2001年、天然成分を加えた独自のミネラル溶液を開発し、大豆の葉面に噴霧する栽培を始めた。

 04年には三重大学も研究に加わり、同液を葉に噴霧することで葉緑素が増加し、光合成による栄養供給が増えることを証明した。「たんぱく質の含有量が一般的な大豆に比べて6%増加し、48%にもなった」(同)という。

 現在、契約栽培に参加する地元農家は四日市市と松阪市の計6戸で、総栽培面積は100ヘクタール。第1号は斉藤農場(四日市市、斉藤悟代表)で、南川社長が考えたにがり農法に理解を示し、いち早く協力を買って出てくれた。栽培履歴の提出や徹底した品質管理の実践で、良質大豆の栽培に成功。今では三重県も仲介役になり契約農家の拡大に取り組んでいる。

 ミナミ産業は栽培された大豆を粉末にし、豆腐や菓子、豆乳、パンなどの原材料として販売中。粉末にする際の大きさがミソで、自社開発の大豆粉砕機で直径20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と微細にしているのが特徴だ。これにより「菓子などに使っても大豆そのものの味がしっかりと楽しめるほか、栄養分をまるごと摂取できる」(南川社長)。

 この粉末で豆腐を作ると程よい硬さで固まるうえ、作業時間の短縮にもつながるという。さらに産業廃棄物として処分していたおからも出ないため、効率的な経営の実現にも寄与する。

 「町の豆腐屋さんの経営は厳しい」(同)が、この粉末原料を使えば多くのメリットがある。同社では大豆粉末の販売のほか、豆腐製造設備の製作や技術指導も行っており、農商工連携で得た成果で全国の小規模豆腐店を支援していく考えだ。


【2010年3月15日 日刊工業新聞社】