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茨城の私立大学、"全入時代"が到来−地域連携に活路

 茨城県内の私立大学が、自治体などと地域活性化の取り組みを進めている。少子化と定員増に伴う"大学全入時代"の到来により大学の置かれた環境は厳しさを増している。それを克服しようと地域連携に活路を見いだそうとする県内私大の取り組みを追った。(茨城・戸村智幸)

【低予算でPR】
 「低予算でできるアンテナショップを」―。常磐大学(水戸市)が1月15日に茨城町で行った同町への提言発表会。コミュニティ振興学部の砂金祐年専任講師のゼミ生7人が、同町関係者の前で街づくりや食育をテーマに発表した。
 ある学生は茨城町の特産物を住民にアピールするため、町内でのアンテナショップの設置を提言した。同町の財政状況を踏まえ、「主婦や高齢者に手伝ってもらえば低予算でできる」と実現の可能性に触れた。

【授業に地域活動】
 常磐大学は2008年に茨城町と連携協力協定を締結。砂金ゼミは09年から同町の職員や農家に聞き取りを始め、同町の「広報いばらき」で地域活性化の方法を提言してきた。発表会はその集大成だ。
 砂金講師は「実践的なスキルを身に付けられる」と学生が地域と向き合う意義を説く。一方で「地方大学が生き残るには地域の役に立つことが不可欠」と経営戦略としての側面も示す。
 茨城キリスト教大学(日立市)では、市の地域連携推進室の活動に約20人の学生が参加している。日立市内の3商店街の活性化実行委員会に参加し、学生は商店街のカレー店をめぐるスタンプラリーを手伝っている。参加者へのアンケートも行って研究している。
 筑波学院大学(つくば市)は05年の開学以来、オフ・キャンパス・プログラム(OCP)として地域との連携に取り組んでいる。全学生が3年間、自治体やNPO団体とともに、授業の一環で街おこしなどの活動に取り組む。2年生は年間30時間、3年生は60時間以上活動する。
 OCP推進室の武田直樹・社会力コーディネーターは「どの団体でどのような活動をするか、自分で選択させる」と学生自身の意志を大事にしている。中には自分で団体を見つけて交渉する学生もいるという。
 つくば市のコミュニティーFM「ラヂオつくば」で30分番組を制作し、昨年11月に放送した2年生は「一人で作るのはプレッシャーだったが、達成感があった」と振り返る。

【地元で人材育成】
 こうした動きについて、日本私立大学協会の小出秀文事務局長は「大学は地域と歩み、地域の人材を育てなければ」と指摘。同協会も9年ほど前から地域共創事業として大学と地域の連携に取り組んでいる。大学が地元に活動の場を持つことが、大学のアピールと地域活性化の一石二鳥となることが期待される。


【2010年3月11日 日刊工業新聞社】