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農商工連携の今(28)冷凍キムチ商品化−解凍しても味変わらず

 解凍すると水が出て味が落ちるため、冷凍保存には向かないキムチ。岐阜県中津川市では、常識を覆す"解凍してもおいしいキムチ"を商品化し、地元の特産品にしようという活動が始まっている。地元の食品卸が中心となり農家や大学などが連携。地元産食材を使いつつ、機能性をプラスしたアイデア商品で、外食市場を狙う試みだ。

 ことの始まりは乾物を取り扱う食品卸、竹田商店(岐阜県中津川市)の竹田斉社長が、中津川北商工会で特産品を創るための専門委員会に参加したこと。「比較的簡単に栽培できる白菜を使い、全国の漬物消費量の25%を占めるキムチを作ったらどうか。白菜なら畜産家が飼料用作物を収穫した後の畑を活用できる」(竹田社長)。兼業農家として農業の知識を持つ竹田社長の発案がきっかけとなった。

 だが、普通のキムチでは差別化できない。そこで思いついたのが冷凍キムチ。白菜は傷みやすいため、収穫後は手早く漬け込み作業に入る必要がある。ただ発酵食品のキムチは日が経つと味が変わってしまう。「冬に漬けたら1年間冷凍保存でき、解凍しても水が出ず味が変わらない商品なら業務用にも売れるはず」(同)。2008年10月から開発が始まった。

 下漬け(塩漬け)工程では、アルカリ性の水を使うことで白菜から出る水を抑えることに成功。約3カ月かけて凍らない"たれ"も開発した。さらに改装した倉庫にキムチを5トンまで保存できる冷凍庫を導入。下漬けに2日、本漬けに3日の作業の後は冷凍庫に入れるだけで、必要な時に出荷できる体制も整えた。

 原料の白菜を安定的に仕入れるため、地元の畜産家2軒と農家3軒で「下野野菜組合」を組織。同組合から1キログラム70円で仕入れる契約を結んだ。また白菜に起こりやすい連作障害対策にも取り組んでいる。中津川で採れる花こう岩を土に混ぜると連作障害を抑えられる可能性もあり、岐阜大学と連携し土壌の成分分析も進めている。

 昨冬は2トンのキムチを製造。地元の方言で「食べようよ」という意味の「たべよまいか」を商品名にし、地元の酒店や飲食店に納めた。だが本命の外食市場に本格的に売り込むには、「一つの居酒屋チェーンだけでも、年間20―30トン必要」(同)で、生産量の少なさが課題だ。今後は全国規模の食品展示会などに積極的に出展して販路を拡大しつつ、生産量を上げる体制の整備を進めていく考えだ。


【2010年2月1日 日刊工業新聞社】