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産業がわかる!/佐賀・有田の磁器産業、商品開発

 有田焼は佐賀県有田町特産の高級磁器で、国内外で食器などを中心に有名。国内初の磁器と言われ、約400年近い歴史を誇る。産業、市場構造の変化に加えて経済情勢の悪化で苦境にある産地だが、2016年の400周年を前に活性化を目指している。

 福岡財務支局佐賀財務事務所がまとめた有田焼主要企業(約350社が所属する3組合と直販大手2社)の08年売上高は約64億円と、91年の同249億円をピークとして減少に歯止めがかかっていない。

 背景には景気低迷とライフスタイルの変化がある。業務用食器の買い替え需要や宴会の減少、バイキング方式の増加で高級食器の必要性が低下。低価格の中国製品に大きくシェアを奪われている。個食化で食器を使わない家庭も増え、全体のニーズが縮小した。

 消費者取り込みに業界は躍起だ。香蘭社(佐賀県有田町)は「星の王子さま」やサッカーワールドカップなどのライセンス商品を投入して若年層の開拓を狙う。また深川製磁(同)は、欧州を中心とした海外でのブランド確立による高付加価値化に積極的だ。

 窯元と卸の完全分業という慣習を打破して成功した例が「匠の蔵」シリーズ。窯元数社と有田焼卸団地協同組合(同)の会員商社が連携し、05年に焼酎グラスを発売。09年11月に発売した第5弾のシチュー皿も好評で、1カ月で約1万4000個を出荷した。

 田代章次郎同組合専務理事は「異業種も絡め、消費者が求める商品を作るべき」と訴える。各窯元はペット用骨つぼや万年筆、万華鏡、ステッキなど、食器以外のニーズを取り込もうとしている。

 人材育成も大きな課題となっている。09年末に有田町や佐賀県、商工・業界団体、窯元など19者で有田地域雇用創造推進協議会を設立。技術伝承や経営的視点の導入、外部講師によるデザイナー育成などにも取り組んでいる。農業分野とも提携し、窯業・農業・観光業が団結して地域の振興を図っていく。


【2010年1月19日 日刊工業新聞社】