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高速道路会社、事業領域の拡大急ピッチ

 普通車の週末・休日利用を対象に始まった"1000円高速"は狙い通り手軽なレジャーとしてドライブ需要を喚起し、多くの観光地をにぎわせた。高速道路の休憩施設も車と人でごった返し、飲食・物販売り上げを伸ばしたが、2005年に発足した高速道路会社の関連事業はそんな範囲にとどまらない。制度上、道路事業は収支が均衡する仕組みになっており、自社裁量で利潤を追求できるのは関連・新規事業に限られるためだ。各社とも民営化で自由度が増した関連事業の領域拡大に取り組んでいる。

【東日本高速道路】

 東日本高速道路はドライブ旅行に必要な情報を提供するウェブ事業で、2009年6月から携帯電話のモニター画面に地図を表示し、最新の道路交通情報を確認できるサービス「ドライブトラフィック」を始めた。地図情報最大手のゼンリンの協力を得て、携帯で初めて汎用地図の高速ルート上に渋滞や通行止め、チェーン装着など各種規制範囲を表示できるようにした。

 パソコンのドライブ旅行情報サイト「ドラぷら」と連携させて、「計画づくりから目的地への移動、帰宅するまで旅行プロセスのすべてをサポートし、事業領域を広げていく」(開発事業部新規事業課)のが狙いだ。携帯、パソコンともに無料で利用できる。

 現在、携帯コンテンツは道路交通情報とサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)情報に限られているが、それだけでも09年夏のお盆期間には1日15万人以上がアクセス。パソコンのドラぷらは8月の1カ月間で5000万ページビューを記録し、ドライブ旅行ポータルサイトとして圧倒的な存在感を示した。

 ドラぷらでは同社の高速道路沿線を中心とした名産品約500アイテムをネット販売し、宿泊予約でも実績を上げている。ネット販売では昨秋に酒販免許を取得、年明けから、地酒を中心とした酒類も取り扱い始めた。

 「携帯に汎用地図を表示できるようにしたことがポイント。沿線の観光地情報などをコンテンツに加えていけば旅先の携帯情報端末になる。"お出かけから帰るまで"すべてがビジネスチャンス。クルマの旅をトータルコーディネートする」(同)と将来像を描く。

【西日本高速道路】

 西日本高速道路は、単なる休憩施設ではなく「お客さま満足施設」を目指そうと、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)でシャワーステーションの設置を進めている。トラックドライバーを中心にした利用者から「入浴できる施設を設置してほしい」という意見が多くあがっていたのを受け、2008年12月から現在までに3カ所設置した。

 従来のコインシャワーに加え、コインランドリー、無料のマッサージチェアーも用意。09年2月にオープンした山陽自動車道の小谷SAでは24時間営業しており、長距離ドライバーの疲労回復に一役かっている。同SAでは「当初1日50人の利用を見込んでいたが、150人が利用する日もある。行列ができるほどの混雑ぶり」(西日本高速道路サービス・ホールディングス)という。

 今後は休日の通行料金1000円に伴う増客による収益の一部を利用客に還元するため、さらに増やす方針だ。約2年間で大型車の利用が多いエリアなど、7カ所の新設を予定している。京阪神地区は密に、地方は約250キロメートル間隔で設置していく。

 07年6月には通販事業「パスティ」を始めた。食品や雑貨、家電、寝具など約800の商品を取り扱う。SA・PAなどに無料のカタログを置くほか、インターネット通販を実施。道路や旅情報などを掲載するフリーペーパーでも商品を紹介し、認知度アップに努めている。

 売り上げはまだ少ないというが、「今後はインターネットを中心に事業を拡大し、関連事業として力を入れていきたい」(同)としている。

【中日本高速道路】

 中日本高速道路は管内10カ所のサービスエリア(SA)で、オリジナル弁当「速弁(はやべん)」を販売している。2006年11月の発売以来「毎日ほぼ売り切れる」(関連事業本部)人気ぶりだ。

 速弁は各SAごとに異なり、合計で20種類ある。「ドライブで訪れた観光地で食べてほしい」(同)と発売した。製作は各SA近くの有名料理店が担当し、地域の高級食材を使う。それだけに平均価格が約2000円と高価だが、毎年季節ごとにメニューを変えるなどして、SAを訪れるドライバーらの購買意欲をかき立てている。

 現在の年間売上高は1億円程度。今後は、旅行会社が運営するツアーの昼食への採用などを働きかけ、「まとまった量を受注できるようにする」(同)考えだ。この取り組みで13年度には売上高2億円を目指す。

 同社は旅行事業にも力を注いでいる。狙いは「ドライブ旅行の新しいスタイルの創造」(同)だ。高速道路を使って遠方に出かければ、宿泊が必要になる。この点に着目し、ホームページで各地の旅館の宿泊商品を販売している。

 年間10件程度の日帰りバスツアーも運営する。「高速道路会社ならではの企画」(同)を売りとし、開通前のトンネル、ジャンクションの工事現場、道路管制センターなど通常では足を踏み入れられない場所の見学を盛り込んでいる。

 旅行事業は07年11月に始めたが、現状は「まだ厳しい」(同)という。今後は提携先の旅館を増やすほか、宿泊付きのバスツアーも企画するなど商品を拡充し、底上げを図る。


【2010年1月4日 日刊工業新聞社】