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農商工連携の今(25)「デコポン」でポン酢開発−リサイクル・環境を重視

 熊本県は全国有数のかんきつ類生産県。中でも水俣市やその周辺地域は栽培が盛んだ。観光農園の福田農場ワイナリー(熊本県水俣市、福田興次社長、0966-63-3900)は、地元のかんきつ類を使った飲料やジャムなどを製造している。現在はポン酢やドレッシング、シャンプーなどの開発に農商工連携で取り組んでいる。

 原料にするのは熟す前の青い実だ。かんきつ類の栽培では間引きのため熟す前の実を取って廃棄する。福田社長は「青い実も主役になって活躍できる場所があるはず」と廃棄果実に注目していた。さらに「地域の特産品を売り込み、イメージアップにつなげたい」(福田社長)との思いもあった。

 2008年には農産物の販売や機能性ドレッシングの開発を行う果実堂(熊本県西原村)や、化粧品や健康食品などを企画販売しているCCT(東京都千代田区)と連携して開発を始めた。

 福田社長は異業種との連携に積極的だ。特に販売業者と連携することが多い。販売業者の意見を開発に取り入れるためだ。また販売初期の一定期間はOEM(相手先ブランド)供給し、販売動向を見極めてから自社ブランドで発売することもある。これらの姿勢は「まずは売れる流れを生み出すことが大事」(福田社長)という考えに基づいている。

 連携事業で最初の製品はポン酢だ。09年11月、熊本県内の生協のプライベートブランド(PB)向けにOEM供給を始めた。年内には自社ブランドでも発売する。地元特産のかんきつ類である「デコポン」の若い実の果汁を原料に使う。福田農場ワイナリーの周辺にはデコポン栽培農家が多く商品化を進めた。

 現在はシャンプーとリンスの開発に取り組んでいる。背景には福田農場ワイナリーがかんきつ類を使った浴用洗剤やハンドクリームの開発にかかわった経緯がある。また福田社長は、かんきつ類の青い実に含まれる成分にも注目する。「育毛剤に含まれる成分と同じ成分が含まれている」(同)というのだ。現在は試作段階にあり、10年度中に発売する計画だ。

 福田農場ワイナリーが製品開発でこだわっているテーマは、リサイクルと環境だ。ポン酢は廃棄物利用のリサイクルで、シャンプーやリンスは使用後に排水をできるだけ汚さない成分。福田社長は「環境にこだわるのは、かつて水俣が体験した水俣病の教訓」と言い切った。


【2009年12月21日 日刊工業新聞社】