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農商工連携の今(23)"未来型野菜"を提供−居酒屋に植物工場設置

 未来型野菜の新たな出口を居酒屋に―。こんな試みが12月1日、東京・四谷の飲食店「ウシカイ」で始まる。未来型野菜は野菜が育つ環境をすべて人工的に制御するため、市場に出回る野菜価格の2倍程度とされる。ほぼ無菌状態で育成するため、異物混入の心配が少なく、ロスも少ない。生産量が天候に左右されないため、価格も安定。飲食店にとっては扱いやすい素材となりそうだ。

 幅670ミリメートル、奥行き680ミリメートル、高さ1900ミリメートル。本棚の大きさのケースに収まる未来型の野菜たち。生きの良い野菜がその場で収穫され、客に振る舞われる。一定量を生産・収穫できるため、天候によって価格が極端に安くなることも高くなることもない。無菌状態で育成するから、キャベツに芋虫がついていることもない。ロスは露地野菜の約4、5割に対して、未来型野菜は1割程度。紫外線で葉が焼けることがなく、柔らかい。輸送コストも要らないため、飲食店などで提供するメリットは多い。

 仕掛け役は、飲食店総合サイトを運営する、ぐるなび。同社が音頭を取り、経済産業省の補助事業を活用。植物工場の設置にエスペックミック(愛知県大口町)、実際に居酒屋で商品として出すためにライナ(東京都新宿区)、リバネス(同)などが参加、産官一体となった実験だ。人工的に制御し、一定量を計画的に生産できる半面、課題となるのは「出口」。需要と供給のバランスを保つため、ぐるなびは出口を居酒屋に設定した。実験は2010年1月26日まで続く。

 課題もある。今回は国の事業を活用したが、通常、植物工場を店舗に入れる場合、ウシカイのサイズの場合で初期投資は300万―400万円。維持費は月1万―2万円程度。未来型野菜は葉物が多く、他の野菜は別ルートで仕入れる必要があり、配送料や仕入れ価格が高くつく。ただ「安全・安心」意識が高い消費者に未来型野菜が認知され、普及が進めば価格面でも露地野菜と見劣りしなくなるかもしれない。

 あえて未来型ということは強調しないが、食の安全・安心に対する関心の高まりは実感している。リバネスの丸幸弘代表取締役CEOは「スーパーで100円の露地野菜と200円の未来型有機野菜が並んでいたら買わないかもしれない。でも、居酒屋メニューでただのサラダ280円と有機野菜を使ったサラダ380円が並んでいたら、後者をとるでしょう」と自信を示す。


【2009年11月30日 日刊工業新聞社】