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農商工連携の今(22)名産品武器に需要創造−梅から果汁・調味料開発

 福井県の若狭地方は梅の産地。この中でも栽培が盛んな若狭町では「紅映梅(べにさしうめ)」と呼ばれる品種を中心に生産している。種が小さく、果肉が多く、果皮も柔らかいという特徴がある。古くから梅干し用などとして味が評価されてきた。この名産を武器に、地域の異業種が手を携え、新たな取り組みを始めた。新規需要掘り起こしによる地域農業の活性化や、地域ブランドの確立を目指し、梅果汁と梅果汁調味料を開発、11月に販売をスタートした。

 活動を本格化したのは、地元の清酒メーカーの鳥浜酒造(福井県若狭町、小堀安彦社長、0770-45-0021)と、若狭町などが出資する第三セクターの農業生産法人エコファームみかた。2008年12月に農商工連携の認定を受け、設備の共有や人材交流などで協力し、1年足らずで独自製品の販売にこぎ着けた。

 開発したのは若狭町産紅映梅の果汁100%の「無添加完熟梅果汁」や「梅昆布ポン酢」など5種類。「若狭紅映FUMELY(フーメリー)FOODS」ブランドで展開する。傷がついた梅や規格外の梅を地元農家から買い取り、有効活用する。初年度は原料約20トンを確保した。

 従来、梅の加工品は梅干しと梅酒がほとんどで「新たなジャンルの市場を創造するのが狙いだ」(木野秀樹鳥浜酒造プロジェクトマネージャー)。梅果汁はかんきつ果汁と同様に料理にかけたり、焼酎割りに使ったりできる。独自の低温酵素分解技術で抽出し、クエン酸やミネラルを多く含む。健康や食の安全を重視する30―40代の女性がメーンターゲットだ。

 現在、福井県内の土産物店などで販売。健康食品メーカーへの果汁の供給やOEM(相手先ブランド)生産も始めた。今後は百貨店などにも出荷する計画で、ギフト市場も開拓する。商品拡充などにより、事業全体で2―3年後に年間2億円規模の売り上げを目指す。

 紅映梅は名の通り、太陽光に当たる青梅の片側がほんのり赤く色づく。かつては全国各地で作られたが、栽培に手間がかかり、単位面積当たりの収量が少ないことから敬遠され、今ではほぼ福井県のみで栽培されている。うち7割以上を若狭町で産出する。

 地域の農家が守り抜いた梅を「なんとか広め、農家の努力も伝えていきたい」(木野氏)。梅以外の特産物や料理、アルコールなどと組み合わせ、新たな味わい方も提案することで、ブランドを確立する考えだ。


【2009年11月23日 日刊工業新聞社】