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農商工連携の今(21)規格外の青じそ活用−ペーストにし豆腐に混合

 出荷できない規格外の青じそを有効活用できないか―。そうした思いから生まれたのが、寺部食品(愛知県豊川市、寺部幸祐社長、0533-86-2554)が製造・販売する「青じそ寄せ豆腐」だ。愛知県豊橋産の青じそは生産額が全国1位。この青じそを活用した独自商品を投入することで、「『豊橋の青じそ』の認知度をさらに向上させたい」(寺部社長)と意気込む。

 青じそ寄せ豆腐は、豊橋温室園芸農業協同組合が生産する新品種の青じそ「愛経1号」を使用する。香りがよいのに加え、害虫に強く、少ない農薬で栽培できるのが特徴だ。これまでは大きすぎたり、形が悪いといった規格外の青じそは出荷できず、すべて廃棄しており、生産者の悩みの種となっていた。そこで規格外の青じそを有効活用することを思いついた。

 この青じそをT.M.Lとよはし(豊橋市)が持つソフトスチーム加工と呼ばれる独自技術でペースト状にし、豆腐に混ぜ込む。ソフトスチーム加工は95度C以下の低温水蒸気で加熱する技術。食材の細胞破壊や酸化を防ぎ、栄養素を損なわずにペースト加工ができるのが強みだ。

 青じそペーストは豆腐の中に混ぜ合わせた際、均一に広がり、風味豊かに仕上がる。さらに冷凍すれば1年は保存ができ、使い勝手がよい。以前、青じそを粉末状にしたものを豆腐に混ぜて試作してみたが、粉が玉状に固形化するため、混ざり具合が悪く「商品化には程遠かった」(寺部社長)と振り返る。

 商品化への道のりは平たんではなかった。寺部社長は青じその風味を大切にし、大豆の甘み、プリンのような食感を出すことに力点を置いた。このため、最適な豆乳の温度やペーストの量、攪拌するタイミング、凝固熟成する時間などを探るために試行錯誤を繰り返した。発売にこぎ着けたのは開発着手から半年たった2009年4月。

 一丁の価格は315円と通常の豆腐と比べて割高だが、1万丁以上の大口受注を獲得するなど「現在のところ売れ行きは計画通り」(同)と表情は明るい。今後は価格改訂やパックのデザイン変更などに加え、青じその油揚げや豆乳など商品ラインアップの拡充、ホームページを通した販路拡大にも挑戦していく。

 「愛知県産の大豆を使った豆腐造りを35年間続けてきた。地産地消がうちのモットー」と話す寺部社長。今後も地元機関と連携しながら、地元に密着した豆腐造りにまい進する覚悟だ。


【2009年11月16日 日刊工業新聞社】