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農商工連携の今(20)国産黒ごま油を製販−安心な原料で商品づくり

 山口県をごまの一大産地にできないか―。山口県産黒ごまを原料に「国産黒ごま油」を製造販売するクレアツーワン(山口市、上村光徳社長、083-974-2850)。同社は農事組合法人あさグリーン優とぴあ(山口県山陽小野田市)や山口中央農業協同組合(山口市)と連携し、山口県内でごま栽培農家の拡大を目指している。

 現在国内に流通しているごまは「9割以上が外国産」(上村社長)で、国内産はごくわずか。相次ぐ不祥事で、中国産の農産物に対する消費者の不信感は根強い。ごま油を製造する同社にとって生産者の顔が見える安心安全な原料を調達し、付加価値の高いごま関連商品をつくることが不可欠となっている。

 そこで国内に流通するわずかな国産黒ごまを集めて「国産黒ごま油」を開発した。1本約8000円と高価だったが、2003年に東京で開かれた大手百貨店の山口県物産展で用意した30本があっという間に売れた。

 上村社長は「国産ごまを原料にした商品ニーズは十分ある」と確信すると、山口県でごまを栽培してくれる農家探しに乗り出した。だが生産者との契約栽培は困難を極めた。こうしたことから信頼できる生産者探しを加速し、山口県で本格的なごま栽培を始めるため08年秋、農商工連携を始めた。農事組合法人あさグリーン優とぴあと山口中央農業協同組合がごま栽培を担当し、そこから仕入れたごまを原料に、クレアツーワンがごま関連製品を製造・販売する。

 連携が始まって約1年。同社はごま栽培をいち早く軌道に乗せ、ごま製品の販売促進に力を入れたいところ。だが現実は厳しい。今年度はごま500キログラムを収穫できる見込みだったが、7月に西日本地域を襲った暴雨被害で農家が大打撃を受けた。そのため今年度収穫量は約100キログラムの見通しで、5年後の目標である年間生産量10トンにも程遠い状態だ。

 ごま栽培農家が増えないという課題もある。理由はごまは米と違い日本で生産方法が確立されていないこと。田植え機や稲刈り機など専用機械が豊富な米に対し、ごまの生産は機械化がほとんどされていない。失敗したときのリスクを恐れ多くの農家は及び腰だという。山口県のごま一大産地化を目指し、「本気で取り組んでくれる熱意のある農家を見つけたい」と意気込む上村社長。原料づくりに一から取り組む全国でもまれな農商工連携プロジェクトは始まったばかりだ。


【2009年10月26日 日刊工業新聞社】